2008 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染症によって生じる骨代謝システムの破綻に関する分子機構の解明
Project/Area Number |
19592118
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大原 直也 National Institute of Infectious Diseases, 免疫部, 室長 (70223930)
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Keywords | 破骨細胞 / マクロファージ / 歯周病原細菌 / Porphyromonas gingivalis / BCG |
Research Abstract |
破骨細胞前駆細胞から破骨細胞に分化する途上で細菌が感染した場合、その分化初期では破骨細胞の形成が抑制され、後期では形成が促進される。分化初期における分化の抑制は分化の方向性が変化したことが示唆された。その方向性を調べたところ、M-CSF誘導型マクロファージ、GM-CSF誘導型マクロファージ、樹状細胞とは異なる細胞に分化していることが示された。この細胞の遺伝子発現パターンをDNAマイクロアレイで調べたところ、インターフェロンに関連した分子の遺伝子の発現が上昇していた。単球・マクロファージ系細胞はI型インターフェロンを産生しないため、I型インターフェロンの影響を考えたが、I型インターフェロン受容体遺伝子欠損マウスから得た細胞を使用しても野生型マウスの細胞と同じ結果であり、I型インターフェロンは影響しないことがわかった。次に菌体成分の認識に重要なToll-like receptor(TLR)からのシグナルの影響を考え、そのアダプター分子であるMyD88とTRIFの遺伝子欠損マウス(KOマウス)の細胞を用いて実験を行なった。分化初期の抑制はMyD88 KOマウス、TRIF KOマウス、MyD88/TRIF KOマウスのどの細胞においても野生型マウスの細胞と差がなかった。しかし、分化後期における破骨細胞の形成促進はTRIF KOマウスの細胞は野生型マウスの細胞と差がなかったが、MyD88 KOマウス、MyD88/TRIF KOマウスの細胞では形成の促進が抑制される傾向にあった。破骨細胞ではTLRの中でTLR2とTLR4のみが発現しており、これらの受容体からのシグナルが後期における破骨細胞形成促進に重要であることが示唆された。
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