2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現解析による下顎頭の加齢的変化と変形性顎関節症の病態の解明
Project/Area Number |
19592133
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
渋川 義宏 Tokyo Dental College, 歯学部, 准教授 (50297347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 幹夫 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30322473)
村松 敬 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00276982)
山田 了 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103351)
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Keywords | 下顎頭 / 顎関節 / 変形性顎関節症 / 加齢 / 遺伝子発現 / インディアンヘッジホッグ |
Research Abstract |
変形性顎関節症は加齢による退行性変化が発症に関与し、二次的要因として歯の喪失や不正咬合などの咬合異常や軟骨代謝異常などが報告されている。我々は、これまで下顎頭の発生過程において、分泌性タンパク質であるインディアンヘッジホッグ(以下、Ihh)が軟骨細胞の増殖、分化や軟骨基質の産生を調節することを報告した。本研究では、生後マウス下顎頭軟骨の形態形成におけるIhhの役割について生後1日齢から生後8週齢のIhhノックアウト(KO)マウスおよび正常マウスを用い、下顎頭の形態形成を解剖学的、組織学的、さらに、骨・軟骨関連遺伝子の時空的な発現をin situハイブリダイゼーション法により解析した。その結果、Ihh KOマウスは下顎頭表層が粗造で、アグリカンなどのプロテオグリカンの産生が著しく低下していることを発見し、変形性顎関節症の発症にもヘッジホッグシグナルが関与していることが示唆された(Journal of Dental Research 89(4) : 349-354, 2010)。次に、変形性顎関節症の発症、進行におけるIhhの役割について解析するため、生後3週齢、8週齢、16週齢の老化促進モデルマウス(SAMP8)とその対照群(SAMR1;正常老化)の下顎頭軟骨を採取し、Ihh、2型コラーゲン(Col II)、アグリカンの遺伝子発現をreal-time RT PCRを用いて検討した。さらに、生後8週齢の両群マウスの上下左右側臼歯歯冠全部と切歯の一部を削合し、咬合喪失モデルを作製し、削合2週後に下顎頭軟骨を採取、Ihh、Col II、アグリカン、MMP 13、ADAMTS5の遺伝子発現をreal-time RT PCRを用いて検討した。その結果、両群、加齢に伴い、Ihh、Col II、アグリカンの発現に減少がみられた。咬合喪失モデルでは、SAMP8群ではSAMR1群と比較して、MMP13、ADAMTS5の発現は有意に増加し、Ihh、Col II、Aggrecanの発現は有意に減少していた。以上の結果より、加齢に伴う咬合の喪失は下顎頭において軟骨マトリックス分解酵素が増加し、ヘッジホッグシグナルが関与することが示唆された。
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Research Products
(3 results)