2007 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子の標的遺伝子探索に特化したマイクロアレイの開発と歯周病原細菌への応用
Project/Area Number |
19592139
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
西川 清 Aichi Gakuin University, 歯学部, 講師 (50340146)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 啓子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70410579)
|
Keywords | 歯周病原細菌 / 転写因子 / 標的遺伝子 / 二成分制御系 / マイクロアレイ / クロマチン免疫沈降法 / ChIP-on-chip |
Research Abstract |
歯周病原細菌P. gingivalis(Pg菌)の二成分制御系転写因子RprYの標的遺伝子を同定するため、クロマチン免疫沈降法(ChIP)とW83株ゲノムベースのDNAマイクロアレイ(chip)を組み合わせたChlP-on-chip解析を行った(Duran-Pinedo ら,2007)。その結果、酸素ストレス応答に関わる遺伝子群が主たる標的であることが判明し、本解析技術の有効性がPg菌で初めて確認できた。一方で問題点も明確になった。第一に、W83株ゲノムには変異が多数認められるため、それを基にしたマイクロアレイを他菌株へ応用する際、最適な結果が得られない場合があること。第二点は、タンパク質コード域(ORF)のみ搭載されたアレイを用いたことに因るシグナル検出能力の不安定性である。ChIP法によって濃縮されたDNA断片は、転写因子結合配列を含むタンパク質非コード領域(IGR)が大部分を占める。IGR配列の検出をORF搭載型マイクロアレイで行うには、ORF領域をもカバーし得る極微量の長鎖DNA断片をプールする必要があった。RprYに関してはこの方法で標的遺伝子候補同定にまで至ったが、実験プロトコルが煩雑化し、他の結合解析データの補完も必要であった。また、転写因子結合配列の詳細なマッピングは構造上不可能である。以上の問題点を改善するため、今後の解析には標準株ATCC33277べースで全ゲノム配列搭載型マイクロアレイの応用を検討し、長崎大学医歯薬学総合研究科・中山研究室の協力を得て、同標準株の未公開ゲノム情報を基に開発したゲノムタイリングアレイを用いることとした。この新規アレイをある転写因子変異株の網羅的発現解析に用いたところ、非常に再現性の高い明瞭なデータが得られ、ChIP-on-chip解析にも充分応用可能であるという手応えを得た。次段階として、ChIP法で回収した微量DNA断片を、バイアスを抑えつつchip解析に必要な量にまで増幅するためのプロトコル開発が進行中である。また並行して進めてきた、今後解析予定のNtrC、GppX、FimA、及びFimX各レギュレーターに対する特異抗体の作製にも成功した。
|