2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内摂食亢進ペプチドによる嚥下関連自律応答の修飾作用とその中枢メカニズムの解析
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19592144
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小橋 基 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20240872)
塚本 剛一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40263610)
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Keywords | 嚥下 / 食物受入 / グレリン / GHS-R / ダイノルフィン / 延髄 / 迷走神経 / 上喉頭神経 |
Research Abstract |
摂食亢進ペプチドによる嚥下関連自律応答の修飾作用を、麻酔下のSD系雄生ラットを用いて調べた。摂食亢進ペプチドとしてGHS-R (grows hormone secretagogue receptor)のリガンドであるグレリンを用いた。嚥下時には食物の円滑な受入のために胃近位部の弛緩が生じるので、グレリン第四脳室内投与の胃底部弛緩におよぼす効果を検討した。その結果、グレリンは用量依存性に胃底部の弛緩を惹起した。グレリン受容体のアンタゴニストとグレリンの同時投与により、グレリンの作用は消失し、頸部迷走神経切断によりグレリンの作用は消失した。これらのことからグレリンの作用は延髄背側部の尾側部のGHS-Rを介して迷走神経の作用で発現することが明らかとなった。摂食亢進作用を持つκ-オピオイド受容体作動薬のダイノルフィンAでも、同様に胃近位部の弛緩が見られた。次に上喉頭神経中枢端刺激による嚥下反射を顎舌骨筋の筋電図を指標として測定し、グレリン第四脳室内投与の作用を検討した。その結果、グレリン投与は上喉頭神経刺激中(20秒)の嚥下反射の回数を減少させ、その潜時を遷延させることが明らかとなった。また、嚥下反射の回数は投与したグレリンの用量に依存して減少した。グレリンの投与は平均血圧に変化を及ぼさなかった。また、上喉頭神経の分岐部の尾側で左右の迷走神経を切断したラットでもグレリンによる嚥下反射の抑制が見られた。これらのことから、嚥下反射の抑制応答は、グレリンによる心血管応答や消化管収縮による圧受容器反射などを介した二次的な応答ではないことが示された。おそらく延髄の嚥下中枢を介した応答だと考えられる。そこで現在、この部位へのグレリンの微量注入が嚥下反射におよぼす効果を検討中である。
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