2008 Fiscal Year Annual Research Report
BACトランスジェニックマウスを用いた内軟骨性骨形成特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
19592145
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
服部 高子 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00228488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 正春 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20112063)
久保田 聡 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90221936)
西田 崇 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30322233)
青山 絵理子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10432650)
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Keywords | Sox9 / bacterial artificial chromosome(BAC)DNA / トランスジェニックマウス / 10型コラーゲンプロモーター / 肥大化軟骨組織 / vegf / 血管侵入 / 骨髄 |
Research Abstract |
Sox9はSRYファミリーに属する転写制御因子で,軟骨の発生および分化、および様々な他の分化過程を制御していると報告されている。長管骨での内軟骨性骨形成過程において、Sox9は前肥大化軟骨層に強く発現しているが,軟骨組織の最終分化段階である肥大化軟骨組織ではその発現は完全に消失してしまうことから、Sox9の肥大化軟骨層での消失は軟-骨分化過程において必須だと思われるが、現在のところ証明されていなかった。そこで、昨年度までに全長10型コラーゲン遺伝子を含むbacterial artificial chromosome (BAC) DNAの10型コラーゲンプロモーター領域下流に、相同組換えによりSox9 cDNAを挿入した遺伝子断片を用いて、Sox9を肥大化軟骨層に異所性に過剰発現するBACトランスジェニックマウスを作製した。今年度は前年度に作製したトランスジェニックマウスの解析を行ったところ,以下の所見を得た。 (1)出生直後のトランスジェニックマウスでは内軟骨性骨形成の異常に伴う骨の短縮が見られ,組織形態学的観察から、ほぼ完全な骨髄の消失、肥大化軟骨層への血管侵入の遅延、肥大化軟骨細胞層の延長がみられた。 (2)in situ hybridizationの結果から,トランスジェニックマウスにおいてSox9 mRNAは全肥大化軟骨細胞層に加えて延長した肥大化軟骨細胞層に強く発現しており、同じ部位でのvegf, mmp13 mRNAの発現も低下していた。これらの結果は肥大軟骨細胞層から単離した初代培養細胞から抽出したmRNAを用いたreal-time PCRからも確かめられた。 (3) vegfプロモーター解析の結果、転写開始点近傍に存在する2つのSRY boxにSox9が結合しvegfプロモーター活性を低下させる事、また、細胞内でSox9はvegfのプロモーター領域に結合している事、Sox9の発現量をsiRNAで特異的に低下させるとvegf mRNAは増加する事が明らかとなり,Sox9は直接的にvegf mRNAの発現を調節している事を明らかとした。 これらの事からSox9の肥大軟骨細胞層における消失は、血管の侵入、骨髄の形成を可能にし,正常な内軟骨性骨形成に必須である事をin vivoおよびin vitroで明らかにした。
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Research Products
(21 results)