2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンによる神経伝達物質トランスポーター機能発現の修飾とその疼痛制御への関わり
Project/Area Number |
19592146
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大山 和美 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00253021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 滋雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80177873)
十川 千春 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10253022)
十川 紀夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30236153)
土肥 博敏 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00034182)
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Keywords | ニコチン / トランスポーター / ノルアドレナリン / ドパミン / 鎮痛 / 転写 |
Research Abstract |
ニコチンには鎮痛作用があり,この機序としてニコチン様アセチルコリン受容体(nAChR)を介するモノアミン神経活動の調整が関与していることが考えられている。しかし,これに対するモノアミントランスポーター発現調節の関与については未だ不明である。そこでこの問題を解決し,疼痛制御に関わるニコチンの新規メカニズムを解明する目的で本検討を行った。 まず,ノルアドレナリントランスポーター(NET)遺伝子転写活性に焦点を当て,同じカテコールアミントランスポーターに分類されるドパミントランスポーター(DAT)に対する効果と比較検討した。両遺伝子コアプロモーターを含む転写開始上流約10kbのDAT/NET遺伝子をBACクローンからサブクローニングし,ルシフェラーゼレポータージーンの上流に挿入したコンストラクトを作成して,レポーターアッセイによりその転写活性を解析した。神経細胞由来SK-N-SH細胞に一過性に導入した場合,ニコチンはDAT転写活性を促進したが,NETのそれには影響しなかった。この促進に関わるニコチン応答領域(NicRE)は,転写開始上流3.2-5.7kbに存在することを明らかにした。第1イントロンはコアプロモーター活性に対しサイレンサーとして働くが,この領域を欠失させるとニコチンの転写促進作用が失われたことから,NicREと第1イントロンとの相互作用がニコチンの効果に関わる可能性が示唆された。 当初予想したNET転写活性に対するニコチンの影響が認められなかったため,これまで我々の研究で示されていたニコチンのNETmRNA発現抑制効果の機序は転写後修飾である可能性が強くなった。次年度はこのNET転写後修飾の機序に焦点を当て解析する予定である。また,本実験系では生理的条件でニコチン応答に関わる因子が欠乏している可能性もあるので,今後NGF等種々の条件を確認したい。
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