2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安松 啓子 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 研究員 (50380704)
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Keywords | 味覚 / 脂肪酸 / 鼓索神経 / 舌咽神経 / 脂肪酸受容体 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
正常な食調節を乱れさせる原因として、嗜好性の高い甘味や脂肪がある。甘味と違って脂肪そのものは明確な味を惹起しないにもかかわらず、食品に含まれているか否かで食欲への刺激効果はまったく異なっている。 本研究では、脂肪酸の味覚および味覚修飾について明らかにするため、脂肪酸を用いた生理学的機能解析を、舌前方(鼓索神経)・後方(舌咽神経)の神経応答にて検討し、脂肪酸受容体、味覚受容伝達関連分子KOマウスを用い、脂肪酸応答や味細胞の機能分子発現を解析した。 その結果、KOマウスを用いた神経応答解析および免疫染色法による分子発現の検索においてほぼ仮説を支持する結果が得られた。細胞内伝達機構について検討するため、Gタンパクgust(ガストジューシン)-KOマウスおよび、PLCβ2やIP_3R3の下流で細胞の興奮性に関わるイオンチャネルTrpm5のKOマウスにおける脂肪酸応答について、鼓索神経および舌咽神経応答解析を行ったところ、Gタンパクgust-KOマウスでは鼓索・舌咽両神経において、野生型マウスとの間に有意な差は見られなかったが、Trpm5-KOマウスについては、両神経において、野生型マウスとの間に有意な差が見られた。以前の研究でGガストジューシンはTrpm5発現細胞の一部分に発現することが報告されている,したがって本研究の結果から、Gガストジューシンを発現しないTrpm5発現細胞が脂肪酸の受容に主に関わっている可能性が示唆されることとなった。マウスでは甘味抑制剤グルマリンによって抑制される甘味受容細胞と、抑制を受けない甘味受容細胞が存在しており、グルマリンによって抑制される甘味受容細胞はGガストジューシンを発現していることが以前のわれわれの研究で示唆されている。このことと本研究の結果を照らし合わせると、グルマリンによって抑制されない甘味受容細胞が脂肪酸の受容・伝達にかかわっている可能性が示唆された。今後の課題としては、この可能性を検討するため、単一神経レベルでの解析が必要と思われる。脂肪酸受容体KOマウスについては現在解析を進めている。
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Research Products
(9 results)