2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592160
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三枝 禎 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (50277456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, 助教 (00386096)
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Keywords | ノルアドレナリン / ドパミン / β受容体 / NA取り込み阻害薬 / reboxetine / 側坐核 / ラット / 脳微小透析法 |
Research Abstract |
青斑核などからのノルアドレナリン(NA)神経は,中脳辺縁系ドパミン(DA)神経の投射する側坐核へ入力する。側坐核のNA神経とDA神経との間には密接な機能的相互関係があり,この領域に分布するβ受容体の作動薬による活性化は同部位のDA遊離を増加する。一方,NA取り込み阻害薬は細胞外間隙においてNAのみならずDAも増加するが,その発現機構としてNA取り込み機構を介したDAの細胞内移行の阻害の関与が示唆されている。しかし,NA取り込み阻害薬の示すDA遊離促進作用へ細胞外NA量の増加によるβ受容体の刺激が関わるか否かについては明らかでない。そこで本研究では,選択的β受容体遮断薬のpropranololを用いて,この薬物が選択的NA取り込み阻害薬のreboxetineの示す側坐核のDA遊離促進効果を抑制するか否かについて検討した。 実験には無麻酔非拘束ラットを用い,側坐核から脳微小透析プローブを介して回収した細胞外液中のNAおよびDAはHPLC-ECD法で分離・定量した。薬物はいずれも灌流液中に溶解し,脳微小透析プローブを介した逆透析で側坐核に局所灌流投与した。Propranololは,側坐核のβ受容体の作動薬による活性化が誘発する同部位のDA遊離の亢進を抑制する用量を用いた。 その結果,側坐核の基礎NAおよびDA遊離はいずれも,reboxetine(1.2,12pmol)の灌流投与により増大した。Propranolol(300,1200pmol)の灌流投与は,基礎NA遊離,基礎DA遊離,reboxetine誘発NA遊離にはいずれも著明な影響を与えなかったが,reboxetineが誘発したDA遊離の増大を強く抑制した。 以上の結果からreboxetineが誘発した側坐核のDA遊離亢進には,同部位において増加した細胞外NAによるβ受容体の活性化が関わる可能性が示された。
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