2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性歯周炎の及ぼす上皮-間葉細胞間相互作用の機能解明による臨床治療への応用
Project/Area Number |
19592167
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下西 充 Tohoku University, 病院, 助教 (40302153)
|
Keywords | マラッセの上皮遺残 / MMP-2 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
我々はマラッセの上皮遺残由来上皮細胞と歯根膜由来線維芽細胞を同一シャーレ内で共培養することにより、その細胞間相互作用に関する研究を行ってきた。この培養系において、上皮-間葉組織間に存在する基底膜の構成成分であるType IVコラーゲンを分解するMMP-2の発現に関する検討を行った。抜歯したヒト第三大臼歯より歯根膜組織を採取し、無血清混合培地により同一組織片より上皮細胞および線維芽細胞を培養し、サンプルとして実験に用いた。免疫染色、In situ hybridization法およびRT-PCR法にてMMP-2およびMMP-14の発現を解析した。ウェスタンブロット法にて培地ならびに細胞におけるMMP-2の発現を解析した。免疫染色では、MMP-2は上皮細胞に強く発現したが、In situ hybridization法では、MMP-2のmRNAはむしろ線維芽細胞側でその発現がみられた。一方、MMP-14のmRNAは上皮細胞でその発現が強くみられた。RT-PCR法では、MMP-2のmRNAの発現は共培養した方が単独培養に比べ強かった。ウェスタンブロット法では共培養した培地中に活性化されたMMP-2の発現がみられた。 以上より相互作用により誘導された潜在型MMP-2はMMP-14によって活性化され、Type IVコラーゲンを分解することが示唆された。これらのことから、細胞間相互作用により、基底膜の構成成分が上皮細胞-線維芽細胞間境界部で発現し、基底膜のリモデリングに関与する酵素MMP-2およびMMP-14も同定され、歯根膜の恒常性維持にマラッセの上皮遺残が関与する可能性があることを明らかにした。
|