2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線性下顎骨骨壊死の段階的外科治療における補助療法に関する研究
Project/Area Number |
19592176
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
青木 伸二郎 Yokohama City University, 市民総合医療センター, 准教授 (50231759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 誠 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 准教授 (20347305)
藤内 祝 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 教授 (50172127)
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Keywords | 放射線性骨壊死 / 外科治療 / nasolabial flap / 多血小板血漿 / レーザー血流計 / 低出力超音波パルス |
Research Abstract |
放射線下顎骨骨壊死を確実に、かつ早期に治癒させることで頭頸部癌放射線治療による顎骨骨壊死という有害事象を最小限にして、放射線治療後のQOLを向上させることを目的としている。われわれが考案した放射線下顎骨骨壊死の段階的外科治療を成功させるため、その根拠となる血管新生と微小循環の改善方法について実験的ならびに臨床的検討した。19年度は主として臨床研究を行った。骨壊死症例において、(1)骨壊死早期における口腔に露出した壊死骨除去表面をドレッシングする方法として、多血小板血漿(PRP)1mlとコラーゲン膜を用いた閉鎖により、壊死骨除去創を瘢痕治癒させることが可能であった(短期経過観察中:5例中4例)。(2)局所皮弁(nasolabial flap)に遷延法(ディレイ法)を行うことでは、皮弁形成を骨壊死除去の約7日前に実施し、レーザー血流計と専用解析ソフトを用いて術前後を比較した結果、基礎疾患に糖尿病を有する症例を除いて、ディレイ法を行った場合、皮弁血流が約50%増加し口腔内への生着性は良好で、骨壊死の改善率も向上した。(3)顎骨周囲の血流増加に利用する理学的補助療法については、低出力超音波治療器を用いた。照射の前後で照射範囲内の歯槽部の粘膜血流を指標としてレーザー血流計を用いて測定した結果、照射後に血流の増加を認め、骨壊死患者の疼痛症状が緩和されたことがVAS評価(10例中5例)で認められた。骨壊死の早期から中等度進行した時期では、外科療法が可能な症例では(1)と(2)を適用することで骨壊死を終息させることでき、また、骨壊死の再燃や手術不能症例に対する低出力超音波療法の適応は、症状を改善する補助療法として期待できる可能性が示唆された。
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