2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸性細胞外pHによるSPARC/オステオネクチンのプロセッシングとその生理的意義
Project/Area Number |
19592185
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
加藤 靖正 Kanagawa Dental College, 歯学部, 准教授 (50214408)
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Keywords | SPARC / 転移 / プロセッシング / 細胞外pH |
Research Abstract |
SPARCは,オステオネクチンとしても知られる細胞外基質蛋白質である.SPARCの発現レベルの亢進は,種々の癌組織の臨床症例で病期や予後が正の相関を示すが,in vitroでのSPARCの生理活性は細胞増殖抑制やアポトーシス誘導するなど必ずしも臨床結果が一致していない.これまでに,SPARC高発現細胞であるB16-BL6メラノーマ細胞よりSPARC発現をknock downさせた細胞を作成して転移能を調べた結果,Wild Typeより転移結節数が低下したことを見出している.私達は,SPARCが癌細胞の表面に近い部分でprocessingを受けてintactな分子とは異なった生理活性を示しているとの仮説をたて検討している。本年度は,processingの過程について,signalpeptideが重要な役割を持っていることを見出した.内在性のSPARCは,CM中及びcell lysate中とともに検出できたが,培養液のpHには無関係に一部が既に断片化していた.SPARC固有のsignal peptideをトリプシンのsignal peptideに置き換えて一過性に発現しpHの影響を調べたところ,酸性pHでのCM中には内在性のSPARCの断片とは異なるパターンでSPARC断片化が観察されたが,細胞のcell lysateからはSPARC断片だけでなくintactなSPARCも検出されなかった.一方,トリプシンのsignal peptideに置き換えたSPARCの安定細胞株を作成して酸性培養を行ったところ,SPARCの断片化率はさらに亢進した.以上の結果から,SPARCは,固有のsignal peptideでは細胞内でのprocessingが高率に生じ,さらに細胞外では,SPARCは酸性pHの環境下で細胞内とは異なるprocessingを受け,癌細胞の転移に関与していると考えられた.
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