2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管構造を指標とした悪性腫瘍に対する効果的非観血的治療法の開発
Project/Area Number |
19592187
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
櫻井 孝 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60277910)
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Keywords | 放射線療法 / 温熱療法 / 化学療法 / 悪性腫瘍 / ヌードマウス / KB腫瘍 |
Research Abstract |
悪性腫瘍に対する効果的な非観血的治療法の処方を構築することを目的に、ヒト口腔上皮由来悪性腫瘍株のKB細胞株を対象に、6MVエックス線による放射線療法、43℃加温による温熱療法、微小管阻害剤(docetaxel)による化学療法と、それらの併用療法の治療効果についてin vitro、in vivoの研究を行い以下の研究成果を得た。 In vitroの治療効果判定にはコロニーアッセイ法による解析を行った。単独治療時との比較により、放射線と温熱併用療法、放射線と化学併用療法、温熱と化学併用療法、およびそれらの三者併用療法における増感効果について、細胞レベルで解析した。その結果、二者併用療法では放射線と化学療法、温熱と化学療法の併用で強い増感効果が得られることを明らかとした。また、三者併用療法ではさらに強い増感効果の得られることも明らかとなり、臨床的な処方で達成できる処方量で、ほぼ細胞を死滅させることの可能であることが確認された。 さらに、同細胞株のBALB/cA Jcl-nu/nuヌードマウスへの皮下接種により作成した腫瘍モデルマウスを用いてin vivoにおける治療効果判定を行った。その結果、通常の放射線療法で行われる2.OGy/回、5回/週によるエックス線照射70Gyでは、KB腫瘍の約50%の領域で生存細胞の残存することが病理組織学的に確認された。一方、70Gyの放射線照射に週一回の温熱療法を併用した場合や、週1回の化学療法を併用した場合には、生存する腫瘍細胞は認められず、十分な治療効果の期待できることを病理組織学的に確認した。三者併用療法では、単独治療時の処方量を半分程度まで低減しても十分な治療効果の得られることが確認された。そして、治療効果の高い併用療法では、腫瘍内と腫瘍周囲の微小血管が減少し、血管の断裂や断片化が生じることを定量解析により明らかとした。
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Research Products
(4 results)