2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイ解析に基づく歯の喪失と脳機能に関する研究
Project/Area Number |
19592227
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高津 匡樹 Nihon University, 歯学部, 准教授 (50343033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小牧 健一朗 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40361109)
土谷 昌広 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60372322)
|
Keywords | マイクロアレイ / 歯の喪失 / 海馬 / 遺伝子発現 / RT-PCR |
Research Abstract |
抜歯や歯冠削合により臼歯咬合を喪失したマウスでは、空間記憶学習能が低下するとともに、海馬などで錐体細胞や神経伝達物質分泌量が減少することが多数報告されている。しかしながら、臼歯咬合喪失が他の脳特異的な機能や疾患に及ぼす影響については不明である。そこで本研究では、老齢期マウスの臼歯咬合喪失が脳の機能や疾患に及ぼす影響を明らかにするため、DNAマイクロアレイを用いて抜歯に伴う海馬の遺伝子発現変動を網羅的に解析した。実験にはC57BL/6J雄性リタイアマウスを用い、18ヶ月齢時にペントバルビタール麻酔下で上顎両側臼歯を抜歯した。また、対照として麻酔処置のみを施したマウスを用いた。いずれも処置後4ヶ月間飼育した後、各群5匹から海馬total RNAを抽出して、DNAマイクロアレイ解析を行い、1,4000遺伝子について抜歯に伴う発現変動を解析した。その結果、91遺伝子で1.5倍以上の有意な発現変動が認められた。そのうち、21遺伝子が発現上昇、70遺伝子が発現低下を示していた。これらの遺伝子についてKEGG pathway解析を行ったところ、2種の遺伝子が神経系の長期抑制に関する経路に含まれていた。さらに、脳神経系に特異的な機能や疾患に関連する遺伝子を検索したところ、神経伝達物質の輸送・放出制御や受容体など神経機能に関与する遺伝子や、統合失調症などの脳疾患に関与する遺伝子が含まれていた。以上のことから、老齢マウスにおける臼歯咬合の喪失は、空間記憶学習能の低下だけではなく、海馬における種々の現象に関与する可能性が示唆された。なお、マイクロアレイ解析の結果については、現在、RT-PCRにて確認を行っているところである。
|