2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小表面接触疲労にもとづく修復用材料の表面劣化とその耐久性の改善
Project/Area Number |
19592252
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤井 孝一 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (60156817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 裕之 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90128405)
南 弘之 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50244257)
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Keywords | 表面接触疲労 / 硬さ / 人工歯 / 歯科用貴金属系合金 / 疲労寿命 |
Research Abstract |
平成21年度は本研究での要求設備である表面接触疲労試験装置により、人工歯材料(アクリルレジン歯、硬質レジン歯、陶歯)について、ルビーボールによる繰返し転がり接触試験(500rpm,200gf,37℃)を行い接触面の劣化について検討した。疲労寿命(5μmのwear trackを生じる繰返し数)は3.1×10^4~5.88×10^4回であった。これらの結果より20年度で得られたコンポジットレジンの結果と同様に、硬さ(Hv)の大きいものほど、すなわち、3種類の人工歯材料中で硬さが最大の陶歯の疲労寿命が最も短いことが明らかになった。したがって、表面接触疲労の耐久性は、材料として組成的にも機械的性質(弾性的および塑性的性質)の点でも均一な性質を有するものが大きく(疲労寿命が長い)、さらに脆性的な材料より、より流動性を示す材料の方が、疲労寿命が長くなる傾向を示すことが本研究の範囲内で明らかになった。 さらに、本年度は歯科用貴金属系合金(タイプ1と4金合金と12%金銀パラジウムの3種類)についても、人工歯と同様な条件で表面接触疲労の検討を行った。その結果、各材料の疲労寿命は5.55×10^3~1.6×10^4回となり、平成19年度の有機系材料の結果や本年度前半に検討した人工歯材料の結果と比べ、これらの貴金属系合金の疲労寿命は比較的短い傾向を示した。しかしながら、疲労寿命の最も短い値を示したタイプ1金合金は繰返し表面接触で材料が摩耗するのではなく、その硬さが軟らかく延性が大きい為に、その結果、ルビーボールの接触部部分からはみ出す形で、幾重もの薄板状物の形成が観察されたことから、接触面での実際のwear trackの深さは浅いのではないかと考えられた。特にルビーボールによる面圧がより高い繰返し接触の初期の5μmの値によって疲労寿命を決定している本試験条件下での疲労寿命に及ぼす影響は、タイプ1のこの流動性の大きいことが他の材料よりも明確に表れ、そのため最も疲労寿命が短くなる結果になったものと思われる。また、wear track面では疲労破壊特有の表面から材料が部分的に剥離した多数のくぼみが各材料とも生じた。タイプ4と12%金銀パラジウム合金はほぼ同様な疲労寿命を示した。しかし、タイプ4のHvは12%金銀パラジウム合金より大きい値を示すものの、タイプ1で述べたような薄板状物の形成がタイプ4の方に比較的多く見られ、タイプ4の延性の大きいことが示唆された。
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Research Products
(3 results)