2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキシアパタイトで被覆した骨伝導型多孔質インプラントの開発と骨伝導機構の解明
Project/Area Number |
19592257
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70168821)
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Keywords | ヒドロキシアパタイト / 口腔インプラント / チタン / 多孔質インプラント / 骨伝導性 / 表面処理 |
Research Abstract |
研究最終年である本年度は、細孔の内部までHA皮膜をより均一に形成できる処理条件を見出し、多孔質インプラントの開発に必要なコーティング法を確立することを目的とした。さらに、多孔質なインプラントの骨埋入部と組み合わせて使用するアバットメント(粘膜貫通部)の耐食性および組織適合性を向上させるTiNコーティングに関しても検討を加え、口腔内で長期間にわたって安定に機能する口腔インプラントシステムを確立することを試みた。直径0.1mmの球形ビースを付与した純Ti製インプラントのフィクスチャーを5Mの水酸化ナトリウム溶液中でアルカリ処理を15分間施し、その後リン酸カルシウム過飽和溶液中で50℃に加熱することによって、1時間で約2μmのヒドロキシアパタイト(HA)薄膜が細孔の内部まで均一に形成した。また、HA薄膜を形成したフクスチャーの耐食性は極めて高く、純Tiと同等であることが分かった。したがって、臨床で使用可能な多孔質インプラントの表面に対しても、耐食性を低下させることなく均一なHA薄膜を短時間で形成できることが実証された。さらに、インプラントのアバットメントにアークイオンプレーティング法を用いて、厚さ3μmのTiN皮膜を形成し、耐食性と細胞の動態を調べた。その結果、生理食塩水中および酸性フッ化物溶液中における耐食性は純Tiと比較して、著しく高くなることが分かった。また、TiN皮膜上における上皮細胞や線維芽細胞の付着、伸展および増殖挙動を調べた結果、純Tiと同等の細胞親和性を有することが明らかとなった。以上の結果から、HA皮膜を均一に形成した多孔質な表面構造を有する骨伝導型フィクスチャーと耐食性および細胞適合性に優れたアバットメントを組み合わせた口腔インプラントシステムを確立することができた。
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Research Products
(3 results)