2007 Fiscal Year Annual Research Report
機能生体材料としての天然高分子ゲルの膨潤/収縮挙動と物質動態の定量的解析
Project/Area Number |
19592258
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
根津 尚史 Iwate Medical University, 歯学部, 講師 (40264056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 吉馬 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20005036)
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)
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Keywords | 天然高分子 / ゲル / 膨潤 / 収縮 / QCM-D / 物質動態 / 拡散 / 放出 / 取込制御 / 機能生体材料 |
Research Abstract |
1.QCM-Dによるタンパク質吸着層の解析(→論文発表) 高分子ゲルの膨潤/収縮に伴うゲルの密度、硬さの変化を測定する手段としてQCM-Dを利用した。課題遂行最初の段階として、硬さに関係する形状が異なるタンパク質の吸着層の性質を調べた。繊維状のコラーゲンでは吸着平衡到達に長時間を要し、多量の吸着が起こること、吸着層は非常に軟らかいことが明らかになった。これに対し、コンパクトな球状のリゾチームは添加直後に吸着平衡に達し、吸着層は硬いこと、酸化物表面に対しては静電結合することが示された。また、フィッティング解析から吸着層は単分子の厚さであると見積もられた。これらの結果を踏まえ、2年次には(1)多糖、合成高分子の吸着挙動、(2)環境変化に応答した吸着高分子層のレオロジー物性の変化、(3)環境変化に応答した吸着高分子層での物質取り込みと放出を、QCM-Dにより調べる計画である。 2.複合ゲルの調製 応用性を考慮して既存の腱コラーゲンをゲル材料のベースにすることを企図したが、不溶性で細片状であるため、そのままでは特定の形態をもつ一塊の材料とはならない。そこで、腱コラーゲンと親和性の高い粘稠な高分子溶液をバインダー(マトリックス)として加えた複合ゲルの作製に取り組んだ。バインダー高分子としては生体親和性の高いゼラチンとヒアルロン酸を選択し、これらの粘性の温度依存性を詳細に検討した。2年次には(1)外部環境因子(pH、温度など)の変化で大きな膨潤/収縮を示すNIPAMなどの合成高分子を主成分高分子に加えた複合ゲルで、添加量と膨潤/収縮能の関係を検討する、(2)複合ゲルの膨潤/収縮挙動に伴うモデルドラッグ(色素)の取り込み/放出挙動を、光学的手法で調べる計画である。
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