2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能生体材料としての天然高分子ゲルの膨潤/収縮挙動と物質動態の定量的解析
Project/Area Number |
19592258
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
根津 尚史 Iwate Medical University, 歯学部, 講師 (40264056)
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Keywords | コラーゲン / リゾチーム / 吸着 / 粘弾性 / QCM-D / 膨潤 / 収縮 / 静電相互作用 / 環境応答型デバイス |
Research Abstract |
1.pH変化による吸着物質の放出 金表面のQCM-Dセンサー上にコラーゲン吸着層を形成させ、中性pHでリゾチームを添加すると、リゾチームはコラーゲン層上に吸着することがQCM-D測定から確かめられた。この状態でpHを酸性に変化させると、吸着していたリゾチームが脱離することも示された。この結果は、コラーゲンを基材として環境のpH変化に呼応してリゾチームなど塩基性の抗菌物質を取り込み、放出する、制御可能な生体材料の設計に応用できると考えられる。 2.象牙質表面をモデル化したセンサーの作製と評価 アパタイト表面を有する市販のQCM-Dセンサーにコラーゲンを吸着させ、アパタイトとコラーゲンの双方を表面に持つ複合センサーを、象牙質表面モデルとして調製することを試みた。QCM-D測定によるコラーゲンの吸着過程の観察および吸着層の粘弾性解析から、アパタイトセンサー上でコラーゲンは多層吸着していることが示唆された。また、SEM観察により、アパタイトセンサー表面にコラーゲンが離散的、かつ凝集的に吸着していることが確かめられた。この吸着状態は、センサー表面を単分子層で覆う球状タンパク質のリゾチームとは著しく異なるものであった。吸着コラーゲンは媒質交換程度の通常の洗浄ではセンサーから脱離せず、コラーゲンの吸着した水晶発振子センサーは一昼夜以上安定に発振を続けたことから、この状態をアパタイト/コラーゲン複合センサーとして利用できる見通しが立った。 3.当年度に計画していた、分光法によるコラーゲンゲルからの色素の放出の実験は、進行が遅れ明確な結果を得るに至っていない。今後も引き続き遂行していく課題となった。
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