2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592271
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
西崎 宏 Osaka Dental University, 歯学部, 講師 (80164549)
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Keywords | 歯学 / 電鋳 / テレスコープ / 維持 / 陰圧 |
Research Abstract |
電鋳テレスコープでは摩擦による維持力だけでなく人工唾液を介在させることにより、維持力がより増強されることを引張試験で得られる維持力波形を解析し明らかにしてきた。唾液介在時の内外冠の間に生じる陰圧や唾液の粘性等の要因が維持力の増強に関与しているといわれているが、その詳細解明のため陰圧を外冠の脱離時の維持力と同時記録するシステムを構築した。 1.軸面と主軸との傾斜角度が0度、2度、4度、6度の内冠を製作し、それに対して電鋳テレスコープの外冠を5個ずつ製作した。内冠上面に小穴をあけ、その内面にマイクロプレッシャシステムSamba3200の圧力センサー部分が適合するように固定した。内冠をアクリルケースに固定し、それを引張圧縮試験機の台座部分に固定し外冠を引っ張った時の維持力とその内外冠の間に発生する陰圧を同時記録し解析を行った。 2.内冠と外冠の間に人工唾液を介在させない状態とグリセリンの0%、20%、40%、60%、80%水溶液を人工唾液として介在させた条件で、内外冠の間の陰圧と維持力の開始時点、最大値、消失時点を測定し解析を行った。各計測パラメータについて内冠の角度と内外冠の間の人工唾液の濃度を要因とする分散分析と多重比較を行った。 3.最大維持力、最大陰圧ともに軸面傾斜角が2度、4度と大きくなるほど小さくなったが4度と6度には有意差は見られなかった。 4.最大維持力は人工唾液非介在時より20%以上のグリセリン水溶液介在時の方が有意に大きくなり、最大陰圧は人工唾液が介在すると有意に増加し、濃度が高くなるにしたがって有意に大きくなった。 5.最大維持力発現時間と最大陰圧発現時間の差は、角度に有意差は見られず、人工唾液非介在時より、80%グリセリン水溶液介在時の方が有意に大きくなった。以上のことから、電鋳テレスコープの維持力増強に唾液介在による内外冠の間に発生する陰圧と唾液の粘性の関与を確認できた。
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