2008 Fiscal Year Annual Research Report
力の緩衝能をもつ人工歯を用いた新しい義歯システムの開発
Project/Area Number |
19592275
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
清水 博史 Fukuoka Dental College, 歯学部, 准教授 (80162709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 裕 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (50154878)
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Keywords | 歯学 / 義歯 / 人工歯 |
Research Abstract |
本研究の目的は、欠損を有する患者に対し義歯装着による床下粘膜の疼痛を解消することである。そのために天然歯の歯根膜を模して力を緩衝する層を人工歯と義歯床の間に設けることにより、人工歯に加わる力が直接粘膜に伝達しない新しい義歯システムを開発し、これを用いた義歯の力学的挙動を明らかにしようとするものである。人工歯には硬質レジン臼歯を用い、擬似歯根膜の材料としては試行錯誤の結果、PMMA系義歯用軟質裏装材を選定した。硬質レジン臼歯の基底面を回転切削器具にて約1mmの厚さ分削り、専用に作製した金属製のジグを用いてPMMA系義歯用軟質裏装材を削ったスペースへ填入した。ジグごと湿式の加熱重合器に入れメーカー指示の方法で重合し、終了後ジグから取り出して義歯床への埋入部が擬似歯根膜でコーティングされた人工臼歯を試作した。この人工歯を用いて床の部分を流し込みレジンで重合した義歯を模した試料を作製した。これを用いた新しい義歯システムの力の伝達の様相について調べるために、最大5Nの荷重を毎分0.5mmにて圧子で加え、そのときの荷重-ストローク曲線を記録した。その結果、擬似歯根膜でコーティングされた人工臼歯では圧子が人工歯に接触してから床粘膜面に力が伝達されるのに通常の人工歯の7.6倍の時間がかかった。この結果は試作した人工歯に加わる力がすぐには粘膜面に伝達しない、すなわち緩衝効果があるものと考えられた。今後荷重の伝達の様相、材料の劣化や床用レジンとの接着性について検討する必要がある。
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