2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作マウスを用いた再生軟骨移殖における組織反応の解析と足場素材の最適化.
Project/Area Number |
19592283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 久子 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 医員 (80396746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 和人 東京大学, 医学部・附属病院, 特任准教授 (30344451)
近津 大地 東京大学, 医学部・附属病院, 特任講師 (30343122)
松綺 雅子 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (80313154)
大橋 克己 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (60233235)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生軟骨 / 組織反応 / 足場素材 |
Research Abstract |
力学的強度と3次元形態を有する再生組織を作製ずるためには、生分解性ポリマーなど剛性を有する足場素材の使用が望まれる。一方、足場素材に対する過剰な組織反応は、再生組織の成熟を阻害する可能性もあり、足場素材を含有する再生組織の組織反応に関しては詳細な検討が必要である。本研究の目的は、生分解性ポリマー足場素材を用いて作製した再生軟骨の移植後組織反応を解析すると共に、得られた知見を足場素材の設計に反映させ、機能的で生体親和性に優れた再生軟骨移植法の確立を目指すことである。本年度は、再生軟骨移植に伴う組織反応をより詳細に解明するため、C57BL/6Jマウス耳介軟骨細胞とポリ乳酸(PLLA)足場素材を用いて作製した再生軟骨組織をEGFP遺伝子導入マウス背部皮下へ同系移植し、摘出した移植片を蛍光顕微鏡下で観察することにより、donorとrec1plent由来の細胞を経時的に追跡した。移植後1週でdonor由来細胞と散在性に混在していたreciplent由来細胞は、移植後2週にはdonor由来細胞で形成される集落の周辺に偏在する傾向を示し、更に移植後8週の成熟した再生軟骨組織では、非軟骨領域にのみに局在が確認された。また、軟骨細胞を含有しないPLLA足場素材のみを移植した場合には、細胞を含有する再生軟骨組織と比較し、recipient由来細胞が移植片により多く侵入していることが明らかとなり、再生組織に含まれる軟骨細胞が組織反応の抑制に貢献している可能性が示唆された。次いでdonorとrecipientの相互反応を最適化する足場素材を検討した。乳酸とグリコール酸との共重合体(PLGA)の足場素材と比較し、PLLA足場素材を用いた再生軟骨では移植後2週における組織ヘモグロビン量や炎症性サイトカイン量が有意に低くなっており、組織反応が惹起されにくい特性を有することが示唆された。
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Research Products
(11 results)