2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の浸潤転移におけるウイントシグナル経路の解析と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
19592293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 聡一 Osaka University, 歯学研究科, 助教 (10362675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由良 義明 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00136277)
青田 桂子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70437391)
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Keywords | シグナル伝達 / 浸潤 / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
beta-catenin exon3のリン酸化部位を欠失した変異型beta-catenin cDNAとその発現ベクターを検定した。beta-cateninの細胞質、核への集積を認めない細胞株Ca9-22に遺伝子導入し、変異型beta-cateninを発現しかつ細胞質、核へ集積する複数のトランスフェクタントを確立した。 複数のトランスフェクタントについて、細胞形態、細胞増殖能、浸潤能、遊走能、造腫瘍能、浸潤増殖様式などの細胞生物学的特性の変化について詳細に検討をおこなった。(基質非依存性細胞増殖能は、軟寒天培地中のコロニー形成にて検定し、浸潤能及び遊走能に関してはtranswell chamber assayにて検討した。 細胞接着状態での一方向への遊走能の検定にwound healing assayを行なった。造腫瘍能に関してはヌードマウスに腫瘍を接種した。)ベクターはTet-off systemであり、ドキシサイクリンを添加し、変異型beta-cateninの発現を抑制することができる。細胞増殖能、造腫瘍能に関して差は認めなかったが、細胞形態は細胞間接着はlooseとなり、敷石状に変化した。浸潤能及び遊走能に関しtranswell chamber assayにおいて、著しい増加を認め、wound healing assayにおいても遊走能は増大した。ドキシサイクリン存在下にはこれらは抑制された。細胞内集積したbeta-cateninが核内においてTCF/Lefと結合して標的遺伝子に作用しているのかを検討するため、TCF結合領域を利用したルシフェラーゼアッセイを行った結果、Top flashにおいて、著しい増加を認め、ドキシサイクリン存在下にはこれらは抑制された。その結果、beta-cateninが標的遺伝子を作動していることが明らかとなった。そこで、現在まで報告のある標的遺伝子の発現についてRT-PCRにて検討した結果、MMP-7の発現の増加が見られ、定量PCRにおいても確認した。さらにCasein zymographyにて検討した結果、MMP-7の活性は上昇していた。以上よりbeta-cateninの細胞質、核内集積によって、Wnt signalのcanonical経路が活性化され、浸潤能が上昇することが明らかとなった。ただし、MMP-7以外の他の標的遺伝子も関与している可能性が高いと考え、マイクロアレイ解析を実行中である。
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Research Products
(1 results)