2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌のDNA損傷応答システムの解析に基づく新規治療法の開発
Project/Area Number |
19592300
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
尾崎 登喜雄 Kochi University, 名誉教授 (70031995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲也 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (00200824)
佐竹 秀太 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (10304685)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / DNA損傷 / 相同組み換え / 17-AAG / Rad51 |
Research Abstract |
【目的】これまで我々は口腔扁平上皮癌(OSC)細胞の化学・放射線療法に対する感受性を規定する因子について種々の検討を行ってきた。その中で、OSC細胞のγ線に対する感受性とRad51の発現レベルとは逆相関しており、γ線とRad51が関与する相同組み換えによるDNA損傷応答システムを標的とした治療との併用が口腔扁平上皮癌に対する有効な治療法となりうる可能性を示唆してきた。今回は、Hsp90阻害剤である17-AAGの相同組み換えによるDNA損傷応答システムに及ぼす影響を検討した。【材料と方法】γ線抵抗性のOSC細胞(OSC-1、OSC-4、OSC-5)を17-AAGで処理した後、Rad51の発現、STAT5のリン酸化、ならびにRad51とBRCA2あるいはp53との会合をウエスタンブロット法および免疫沈降法にて検討するとともに、OSC細胞のγ線および抗癌剤(CDDP、DOC)に対する感受性に及ぼす17-AAGの影響をComet assayならびにFlow cytometry法にて検討した。【結果】各OSC細胞を17-AAGで処理することにより、いずれの細胞においてもSTAT5のリン酸化レベル、Rad51とBRCA2あるいはp53との会合、さらには、Rad51の発現ならびに核への移行が減弱した。さらに、OSC細胞を17-AAGで前処理することによりγ線、CDDPあるいはDOCに対する感受性が増強し、前処理を行わなかったものに比べDNA二重鎖切断ならびにアポトーシスがより強く誘導された。【考察】以上より、17-AAGはRad51が関与する相同組み換えによるDNA損傷応答システムを阻害することによりOSC細胞の抗癌剤およびγ線に対する感受性を増強することが明らかとなり、今後、17-AAGと化学・放射線療法との併用は口腔扁平上皮癌に対する有効な治療法となりうる可能性が示唆された。
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