2008 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨骨増生に対する骨補填材・骨成長因子に関するエビデンスを得るための臨床応用研究
Project/Area Number |
19592302
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西原 一秀 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30253892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 典史 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60217875)
野添 悦郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (40208351)
田松 裕一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80266569)
李 知午 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (40404503)
松山 孝司 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (40253900)
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Keywords | β-TCP / 骨補填材 / 免疫組織学的 / 上顎洞底挙上術 |
Research Abstract |
今年度は本研究課題に対して下記の対象について研究を行い、若干の知見を得られたので報告する。 【対象ならびに方法】 研究対象は19例で、男性8名、女性11名であった。骨補填材の使用目的は、腫瘍切除後の骨増生1例、腸骨移植術時の骨補填1例、嚢胞摘出術後の骨増生1例、抜歯窩の骨増生2例、上顎洞底挙上術4例、歯槽部骨増生5例、インプラント埋入時の骨補填5例であった。使用した骨補填材は、β-TCP単体(オスフェリオン[○!R]、顆粒製剤)、β-TCP+HA(セラタイト[○!R]、ブロックおよび顆粒性材)、HA単体(ボーンジェクト[○!R]、顆粒製剤)であった。これらの症例に対して、臨床的評価、レントゲン的評価ならびに組織学評価を行った。 【結果ならびに考察】 腫瘍切除後の骨増生症例は、臨床経過は良好であったが、自家骨は吸収を認めた。ブロックで補填した部位は周囲骨との癒合を認めた。腸骨移植術に自家骨と骨補填を使用した症例では、顎裂の移植骨に骨吸収は認めなかった。嚢胞摘出術後に骨増生を行った症例では、閉鎖部分の癒合不全を認めたために術後4か月時に再縫合を行った。その際、同部から採取した組織では、HE染色で一部β-TCP周囲に骨新生を認めたものの大部分は肉芽組織であった。また、TRAP染色ならびにALP染色ではβ-TCP周囲に破骨細胞を認め、骨補填材の吸収像が見られた。抜歯窩の骨増生をβ-TCP単体の骨補填材で行った症例では、術直後に移植部の歯槽骨粘膜に発赤が認められ、β-TCP移植部はpHが低下することから歯槽骨部粘膜の発赤を伴うことが示唆された。この所見について今後詳細に検討することとした。上顎洞底挙上術4例はいずれもβ-TCP+HAと自家骨の混合を用い、現在術後の経過観察中である。β-TCP+HAと自家骨の混合比は1:1から3:1とした。臨床的に良好な混合比の検討は、今後の研究課題として動物実験を行うことにする。
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