2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592306
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
廣田 誠 Yokohama City University, 医学部, 准教授 (20347305)
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Keywords | 唾液腺 / 唾液腺幹細胞 / 唾液腺癌 / 細胞培養 |
Research Abstract |
唾液腺癌は転移能が高く、悪性度が高いとされている。この悪性病変の制御のために、近年その存在が示唆されている“がん幹細胞"の制御を目的とする研究を計画した。まず、ヒト唾液腺正常組織における唾液腺幹/前駆細胞は、これまでにもその存在を示唆する研究が報告されてきたが、その実体は不明であったため、放射線照射を受けたヒト唾液腺を用い、コロニーアッセイ法を用いて幹/前駆細胞の分離・培養を試みた。20例以上のサンプルについて検討を行い、血清含有培地を用いた後に無血清培地に培地交換を行う手法で、低密度培養即ち単細胞からのコロニー形成が観察できる培養系を樹立した。本培養系を用いて分離された細胞にはコロニー形成後、唾液腺組織を構成する細胞への分化も認められた。続いて放射線照射後の唾液腺臨床検体3症例に本アッセイ系を用いたところ、放射線照射量が最多で且つ最高齢の患者由来の検体では培養ができなかったものの、その他の2検体ではコロニー形成が認められ、さらにRT-PCR及び免疫組織学的染色により腺房・導管・筋上皮細胞への分化を示した。また、得られたコロニーを再び分離・培養したところ、高頻度のコロニー形成を認めた。以上の結果から、ヒト唾液腺組織には高い増殖能、多分化能および自己複製能を有する唾液腺幹/前駆細胞が存在することが示された。続いてFACSを用いてこの幹/前駆細胞の特性解析を行ったものの、新たな知見を得る事はできなかったが、唾液腺における幹細胞の存在を明らかにすることができたため、唾液腺癌細胞株を用い、今度は唾液腺“がん幹細胞"の検討を計画した。培養した唾液腺がん細胞に抗癌剤を使用し、細胞が死滅する致死量を確認したが、致死量にわずかに至らない抗癌剤量を用いることで生存した細胞を“がん幹細胞"候補とし、その特性解析を行っているところである。
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Research Products
(2 results)