2008 Fiscal Year Annual Research Report
間質組織の異常から見た口腔白板症と扁平上皮癌の発症機序の検討
Project/Area Number |
19592314
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
豊島 貴彦 Showa University, 歯学部, 助教 (90338533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 悟 昭和大学, 歯学部, 教授 (80294429)
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Keywords | 口腔癌の発症メカニズム / 遺伝子診断・治療 |
Research Abstract |
悪性腫瘍内での形質発現に、周囲組織との相互作用が不可欠であることが知られるようになって以来、腫瘍周囲の血管新生の亢進、母床組織や間質組織と腫瘍細胞の接着、免疫細胞とのサイトカインや接着分子を介した相互作用などが盛んに研究されるようになった。最近の研究では、癌や前癌病変において、異形上皮細胞や腫瘍細胞そのものの異常のみならず、粘膜固有層、あるいは腫瘍間質も異常をきたしており、その周囲組織の異常解析が発癌メカニズムの解析につながることを示している。申請者らはヒトロ腔白板症やマウス上皮性異形成モデルを対象として、口腔粘膜上皮の発癌過程を明らかにすべく網羅的遺伝子発現解析の結果、loricrin、keratin10など角化細胞の分化に関与する遺伝子群がヒト白板症において著明に発現亢進し、逆に白板症から生じた扁平上皮癌においてそれらの発現が著明に低下することから、これらの遺伝子が口腔白板症の発癌予測マーカーとなる可能性を示した。また、発癌剤で誘発したマウスロ腔粘膜上皮性異形成において、keratin family、small prolin rich protein、transglutaminaseなどの発現変化が認められ、口腔粘膜上皮性異形成の発症におけるこれらの因子の関与が示唆された。しかし、これらの候補因子はいずれも上皮細胞特異的であり、粘膜固有層組織ならびに腫瘍間質の異常については解析できていないのが現状である。口腔癌においてその発症機序を解明し、より一層正確な発癌予測システムを確立するためには、粘膜固有層組織および腫瘍間質組織の詳細な解析が必須であると考える。その結果から、口腔癌の発症メカニズムにおける周囲組織の影響を把握し、遺伝子診断・治療に結びつけることを目的とする。
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