2009 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節内障に関連する病態因子のゲノミクスおよびプロテオミクス研究
Project/Area Number |
19592318
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 壽郎 Nihon University, 松戸歯学部, 教授 (70178416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
小倉 直美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10152448)
酒巻 裕之 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70312048)
伊藤 耕 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20419758)
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Keywords | 顎関節内障 / 顎関節滑膜細胞 / GeneChip解析 / Antibody Array / Chemokine / TNF-α |
Research Abstract |
顎関節内障(ID)患者の滑液中では、炎症性サイトカインであるTNF-αの上昇が報告されている。培養ヒト顎関節滑膜細胞のGeneChip解析の結果、TNF-α刺激では多数のケモカイン遺伝子発現が上昇していた。そこで、TNF-α刺激による滑膜細胞のケモカイン産生量を、プロテインアレイにて検討した。【方法】ID患者から得た滑膜細胞をTNF-αにて4時間刺激し、培養上清を回収した。培養上清中のケモカインタンパク質量をRay Bio社のHuman Chemokine Antibody Arrayにて検出した。また、遺伝子発現の経時的変化はreal time-PCR法、タンパク質の経時的産生量はELISA法を用いて測定した。【結果および考察】Human Chemokine Antibody Arrayにて38ケモカインのタンパク量を測定したところ、無刺激時にタンパク質産生が認められたのは29ケモカイン、TNF-α刺激時タンパク質産生が認められたのは30ケモカインであった。また、無刺激時と比較してTNF-α刺激時にケモカインタンパク質量が2倍以上上昇したのは22ケモカインで、最も上昇率が高かったケモカインはCCL20で162倍であった。これは、GeneChipの結果と一致していた。また、経時的変化を調べたところ、TNF-α刺激滑膜細胞でのCCL20遺伝子発現は4時間でピークであった。培養上清中のCCL20タンパク質量は8時間後まで急激に上昇し、48時間後まで無刺激細胞に比べて有意にタンパク質産生は上昇した。以上の結果から、顎関節滑膜細胞にTNF-α刺激が加わると、ケモカイン遺伝子発現が上昇してタンパク質産生が亢進し、炎症性細胞の局所への浸潤や、毛細血管の造成を引き起こし、顎関節部に炎症状態が生じることが示唆された。
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Research Products
(3 results)