2008 Fiscal Year Annual Research Report
上顎歯槽部骨延長に伴う周辺組織再構築と高気圧酸素療法との関連
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19592347
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川元 龍夫 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50323704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90187732)
馬場 祥行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70251535)
長濱 浩平 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (60401361)
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Keywords | 骨延長法 / 高気圧酸素療法 / 歯の移動 |
Research Abstract |
<目的>骨延長術及び高気圧酸素療法(HBO)は顎顔面領域においても治療に広く用いられている。高気圧酸素療法(HBO)は主に虚血性疾患の治療に用いられ、近年では、口唇口蓋裂患者に対して行われる上顎骨延長術後にも適用されているが、歯の移動に対するHBOの効果やその作用メカニズムはあまり解明されてないのが現状である。そこでイヌの口唇口蓋裂モデルを用いて、骨延長術部位への歯の移動の際にHBOが与える影響に関して検証を試みた。 <方法>左側口蓋に人工的に作製した骨欠損部へ向かって犬歯を含む移動骨片を近心に移動させて骨延長を行った。5匹のイヌは実験群として骨延長を行った直後から20日間にわたるHBOを行った。一方、残り5匹は対照群(control group)としてHBOを適用しなかった。両群ともに延長直後から延長部位に向って第二前臼歯を牽引した。150日目に屠殺した後、pQCTを用いて放射線学的な分析や、組織形態計測学的な評価を行った。 <結果>高気圧酸素に暴露した群は対照群と比較して、皮質骨塩量密度も有意に高かった(p<0.05)。組織形態計測学的分析を用いて調べた結果、新生骨領域は高気圧酸素に暴露した群は対照群と比較して大きかった(p<0.05)。Peripheral quantitative computed tomography (pQCT)による骨塩量密度測定の結果では高気圧酸素療法群の測定範囲内の石灰化領域は対照群と比べて大きかったが、右側ではほぼ同じであった。左側の皮質骨領域に関して、骨塩量密度と骨面積、骨塩量は高気圧酸素療法群の方が対照群と比べて有意に大きかった(p<0.05)。これらの結果から、高気圧酸素療法は骨延長部位への歯の移動に対して影響を及ぼし、移動歯歯根周囲における骨化や血管新生を促進する可能性が示唆された。
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