2009 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼―機械的応力―に対する骨リモデリングのシミュレーションから下顎偏位を解明する
Project/Area Number |
19592348
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 功 Niigata University, 医歯学系, 教授 (90205633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 直子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10397143)
|
Keywords | 偏位咬合 / 骨リモデリング / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は偏位咬合の成り立ち、習慣性咀嚼によるメカニカルストレスに顎骨が適応していく過程、つまり偏位の発生、増悪の過程を、ストレスに対応した骨のリモデリングをシミュレーションする方法で解明することである。 本年度の研究計画は、昨年度前処理を終えた被験者の画像データについて、咬合による負荷を考慮した三次元有限要素解析および骨リモデリングシミュレーションを行うことであった。まず、咀嚼運動時の下顎骨における咀嚼による応力分布を、三次元有限要素解析を用いて解析するにあたり、咀嚼筋の断面積に応じた咬合力と咀嚼筋の走行する方向からベクトルの大きさと方向を決定し付与した。 その結果、両側に均等な咀嚼力を付与した場合、非偏位側と比較し偏位側下顎骨骨体部頬側により広範囲の応力の分布が認められた。またその分布を詳細に検討すると、偏位側では骨体部中央から下縁にかけて分布しているのに対し、非偏位側では歯槽骨よりに分布していることが明らかとなった。また、 舌側においては、非偏位側では全く応力の集中が認められなかったのに対し、偏位側では小臼歯部から大臼歯にかけて中央部に応力の集中が認められた。この応力分布は、被験者固有の咀嚼筋断面積を用いた分析ではさらに顕著な結果となった。 これらの応力の分布から、メカニカルストレスに対し骨がその均衡を保つためにリモデリングしていく過程を推察すると、偏位側の下顎骨下縁部頬側に皮質骨が添加し、偏位咬合患者の下顎骨形態に特徴的な形態となることが明らかとなった。また偏位咬合の発生、増悪には咀嚼筋の不均衡が大きく関与していることが示唆された。
|