2007 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質が発達期の脳ドパミン神経系に及ぼす影響
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19592354
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
光畑 智恵子 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10335664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香西 克之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10178212)
土肥 敏博 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00034182)
北山 滋雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80177873)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 発達 / ADHD / ドパミン神経 / ドパミントランスポーター |
Research Abstract |
内分泌撹乱物質が脳形成、発達時期に影響を及ぼすことにより軽度発達障害等を引き起こす要因になっている可能性については否定されていない。一方、軽度発達障害の1つである注意欠陥多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder, ADHD)は治療に用いる中枢刺激薬methylphellidateがドパミン神経終末に存在するドパミントランスポーター(DAT)に作用することからADHD発症にDATが関与する可能性が示唆されている。そこでドパミン神経系を中心に内分泌撹乱物質が脳形成時期に及ぼす影響について明らかにすることを本研究の目的としている。 内分泌撹乱物質はエストロゲン様作用を示し、申請者らはDATの遺伝子上流にエストロゲン調節領域(ERE)が存在し、DAT遺伝子プロモーター活性のレポーターアッセイから、エストロゲンによるDAT遺伝子転写活性にEREを介した抑制と、EREに依存しない増強があることをすでに示している。 本年度はまず、in vitroの系で、DATと同じアミントランスポーターであるノルエピネフリントランスポーター(NET)発現PC12細胞を用いて、エストロゲンによるノルエピネフリンの取り込みに対する影響を調べた。17β-estradiol、ビスフェノールA(BPA)をそれぞれ前処置(24時間、1時間、10分)後、[3H]ノルエピネフリン(NE)を用いて取り込み量を調べたが、上記のどの時間においても多少の減少を認めたものの大きな影響は認められなかった。現在、in vitroの系でさらにDAT、NETへのエストロゲンの関与を明らかにするため、エストロゲンレセプター(ER)との共発現系を用いた実験を行っている。 同時に、in vivoの系で、妊娠マウスにBPAを摂食させ、胎児期、並びに授乳期にBPA暴露されたマウスを作成し、アニメックスを用いて行動解析を行うとともに脳内のDATをはじめとしたドパミン神経系での変化をmRNAレベル、タンパクレベルで解析中である。 これらの結果を踏まえて、最終年となる来年度はBPAの発達期の脳への影響についてさらに検討を進めていきたい。
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