2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマイオンビームを用いたイオン注入法による矯正装置のナノ構造表面改質
Project/Area Number |
19592363
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
飯嶋 雅弘 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 准教授 (20305915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 到 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20200032)
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Keywords | Ni-Tiワイヤー / イオン注入 / 腐食試験 / アノード分極曲線 / X線光電子分光法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、プラズマを用いたイオン注入法(Plasma Immersion Ion Implantation:PIII)を適用した矯正用ワイヤーの表面構造とその耐食性に及ぼす影響を調べることである。窒素イオンを注入したNi-Ti合金ワイヤーと未注入のNi-Ti合金ワイヤーを試料とし、その表面構造と耐食性を調べた。耐食性試験(腐食試験)としては、人口唾液と3種類のフッ素含有マウスリンス溶液中におけるアノード分極曲線の測定を行った。試験前後の表面状態を走査型電子顕微鏡で観察した。試料表面の構造解析には、X線光電子分光法とナノインデンテーションテストを用いた。アノード分極曲線の測定について、人工唾液および比較的高いpHを有するフッ素含有マウスリンス溶液では、窒素イオン注入Ni-Tiワイヤーが低い電流密度を示した。一方、比較的低いpHを有するフッ素含有マウスリンス溶液中では、両Ni-Tiワイヤーの電流密度には差が認められず、人工唾液中のものと比較して高い値を示した。X線光電子分光法の結果から、いずれのワイヤーともにその表層はTi-richな構造を有し、窒素イオン注入Ni-Tiワイヤーでは、アルゴンイオンスパッタリング後においても窒化物のピークが認められた。以上の結果から、窒素イオンを用いたプラズマイオン注入法は、人工唾液および比較的高いpHを有するフッ素含有マウスリンス溶液中ではNi-Ti合金ワイヤーの耐食性を向上させることが考えられた。
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