2008 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスによる歯周組織構成細胞のシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
19592377
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
八木 孝和 Asahi University, 歯学部, 准教授 (10346166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北井 則行 朝日大学, 歯学部, 教授 (20271025)
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Keywords | メカニカルストレス / ヒト歯周組織構成細胞 / 細胞内シグナル伝達機構 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト歯周組織構成細胞を用いて、メカニカルストレスによる細胞内シグナル伝達機構を解明しようとするものである。また、歯周病原因子である線毛タンパク質、内毒素性リボ多糖(LPS)やその活性中心であるリピドAならびにリポタンパク質/リポペプチドに対する細胞応答性やこれら病原因子の認識にかかわる細胞受容体の発現に及ぼすメカニカルストレスの影響についても併せて明らかにしたいと考えた。 本年度は、以下の結果が得られた。1.前年度に引き続き、本研究の主旨を理解し実験参加に同意した2名の提供者の歯根膜組織から細胞株を樹立した。2.歯周組織構成細胞にメカニカルストレスとして、得られた歯根膜細胞を用いて、一軸方向に10%の伸展刺激を加えた。その結果、Western blottingから、MAPKシグナリングカスケードの動態としては、p38が刺激後1分でリン酸化を示し、ERK1/2は15分で,また,JNKは60分でリン酸化がそれぞれ認められた。RT-PCRおよびELISAの結果から炎症性サイトカインであるIL-6およびIL-8のmRNAは60分および240分で最も強く発現がみられ、それぞれの産生誘導もみられた。以上の結果から、本研究で用いた伸展刺激の条件下で、培養ヒト歯根膜細胞のMAPK経路が活性化されることが明らかとなった。また、同刺激により早期にp38ならびにERK経路が活性化されるが、JNK経路が遅延して活性化されることが示唆された。3.伸展刺激下で前年度に精製した線毛タンパク質を培養液中に添加したヒト歯根膜細胞の動態を調べた結果、lL-8の産生量の有意な上昇がみられた。以上の結果から一軸方向の規則的なメカニカルストレスが、細胞表面の構造に変化をもたらし、細胞内情報伝達系を介して炎症性サイトカインの産生を誘導することが考えられる。また、歯周病原因子の存在下では伸展刺激負荷細胞の情報伝達系に相加的な作用の影響を及ぼした。
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