2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜の伸展刺激に応答するfibulinがオキシタラン線維の制御に果たす役割
Project/Area Number |
19592391
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
敦賀 英知 Fukuoka Dental College, 歯学部, 准教授 (30295901)
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Keywords | 細胞・組織 / 歯学 / 弾性系線維 / 細胞外基質 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
平成21年度は、メカニカルストレスの付与により歯根膜線維芽細胞の細胞膜上に形成された複合体αvβ3・fibuin-5がオキシタラン線維を構成する微細線維の形成に与える影響を検討した。(1)αvβ3単独で機能阻害(RGDDNPペプチド添加による)、(2)siRNAによるfibulin-5の発現抑制、(3)(1)と(2)の組合せによるαvβ3とfibulin-5の二重阻害、を行い形成されるオキシタラン線維の変化を生化学的および形態学的に解析した。平成19年度の結果より伸展刺激によりfibulin-5の遺伝子発現が上昇したが、免疫染色による解析では、細胞伸展によるオキシタラン線維の凝集は、fibulin-5のsiRNA導入により濃度依存的に阻害された。また、非伸展条件下でインテグリンαvβ3の阻害によりオキシタラン線維の形成が抑制され、negative control(RADDNPペプチド)の添加では影響がみられなかったため、インテグリンαvβ3の特異的な抑制効果であることが証明された。従って、通常培養条件下でオキシタラン線維自体の細胞上での形成が抑制されるため、伸展による変化を形態学的に認められなかった。更に、歯根膜線維が細胞の細胞膜上に形成される複合体αvβ3・fibuin-5の変化を免疫沈降により検索したところ、伸展刺激による複合体αvβ3・fibuin-5の変化は認められなかった。すなわち、直接的または間接的に複合体は維持されていた。この複合体に他の分子が含まれているか否かは検索中である。また、生化学的には(3)の(1)と(2)の組合せによる形成量の阻害が最も大きかった。これらの結果は、細胞外基質であるオキシタラン線維は、線維形成過程から線維として機能するまで、部分的に形成細胞である歯根膜線維芽細胞により調節されていることを示唆している。
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