2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592400
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 公也 Hokkaido University, 北海道大学病院, 助教 (00261313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出山 義昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80271667)
森田 学 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40157904)
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Keywords | Toll様受容体3 / 骨芽細胞 / poly(I):poly(C) / IFN-β |
Research Abstract |
自然免疫系は細菌などの侵入を感知し,それを排除する生体防御システムである。自然免疫系における微生物の認識に関与しているものとしてToll様受容体(TLR)が知られており、歯周疾患においても重要な働きをしているものと推測される。 本研究の目的は歯槽骨の代謝調節能を有する骨芽細胞に対するTLRリガンドの影響を明らかにすることである。マウス骨芽細胞様MC3T3-E1(E1)細胞におけるTLR1からTLR9までの遺伝子発現をRT-PCR法により確かめたところ,E1細胞においてはTLR1,3,4,5,6,7mRNAが発現していた。歯周疾患とG(-)菌に関する研究は多くなされているが,歯周疾患とウイルスとの関連を明らかにした研究は少ない。そこで,ウイルス由来二本鎖RNAを認識するTLR3に着目し,研究を行った。 E1細胞に合成二本鎖RNAであるpoly(I): poly(C)を作用させたところpoly(I): poly(C)は刺激後すぐにIFN-βmRNAの発現を誘導した。さらに,poly(I): poly(C)はTLR3,RIG-IおよびケモカインであるCXCL10mRNAの発現も誘導した。 また,E1細胞をIFN-βで処理することによりTLR3,RIG-IおよびCXCL10mRNAの発現が誘導され,抗IFN-β抗体は,poly(I): poly(C)が誘導するTLR3,RIG-IおよびCXCL10mRNAの発現レベルを抑制した。このことからpoly(I): poly(C)によるTLR3,RIG-IおよびCXCL10mRNAの誘導にはpoly(I): poly(C)刺激によりE1細胞から放出されたIFN-βが関与しているものと思われた。 以上の結果から骨芽細胞は骨代謝調節機構以外のこれまではあまり認識されていなかった機能すなわち,局所における免疫系制御機構にも関与することが示唆された。
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