2009 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部CRF遺伝子発現を指標とした口腔・顎顔面領域における慢性痛発症機序の解明
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19592401
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄司 憲明 Tohoku University, 病院, 講師 (70250800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 是明 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (30361158)
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
佐藤 しづ子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60225274)
菅原 由美子 東北大学, 病院, 助教 (30235866)
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Keywords | 痛みストレス / 視床下部-下垂体-副腎系(HPA axis) / 急性痛 / CRHmRNA / CRH hnRNA / Real-time PCR解析 |
Research Abstract |
生体には、ストレスから自らを守り、恒常性を保つための極めて巧妙な仕組みが備わっている。痛みは歯科臨床において頻繁に遭遇する身体的ストレスであり、基礎的・臨床的に広範囲な研究がなされているが、三叉神経領域の痛み刺激が延髄より高位の中枢に及ぼす影響については未だ明らかにされていない。 本研究では、舌の痛みストレスに対する視床下部の応答を詳細に検討するために、舌にcapsaicin溶液及びそのvehicleを注入し血漿ACTH、corticosteroneと視床下部paraventricular nucleus(PVN)のcorticotropin releasing hormone(CRH)および脳下垂体のproopiomelanocortin(POMC)遺伝子を指標として解析した。その結果、1.capsaicin群の血漿ACTHは、capsaicin注入30分後にvehicle群に比べて有意に上昇した。また、capsaicin群の血漿corticosteroneはcapsaicin注入60分後にvehicle群に比べて有意に上昇した。2.視床下部paraventricular nucleus(PVN)のCRH hnRNA発現はcapsaicin注入後15分で3.2倍に増加した。一方、CRH mRNAはcapsaicin注入後60分で2.6倍に増加した。3.更にPOMC mRNAはcapsaicin注入後徐々に増加した。 以上より、舌へのcapsaicin注入による痛みは、hypothalamic- pituitary-adrenal axis(HPA axis)を活性化することから、三叉神経刺激による痛みはストレスとして視床下部に情報伝達され、生体はストレス反応を起こすことが示された。また、hnRNA遺伝子発現はストレスの遺伝子転写活性の指標として有用であることが示された。
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Research Products
(5 results)