2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポケットを有する褥瘡の分子生物学的根拠に基づくケア基準の開発
Project/Area Number |
19592434
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
紺家 千津子 Kanazawa University, 保健学系, 准教授 (20303282)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
大桑 麻由美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30303291)
|
Keywords | 褥瘡 / ポケット / サイトカイン |
Research Abstract |
ポケットを有するStage III・IVの褥瘡は本邦の褥瘡の3割を占めており(日本褥瘡学会,2006)、特に重症度の高い在宅で介護をうける対象に多い。しかし、ポケットを有する褥瘡ケアの方法については本邦においては1998年厚生省のガイドライン、日本褥瘡学会からの褥瘡対策の指針では言及されていない。また、ケアを評価する適切な指標がなく、かつケア介入も科学的な根拠がないためケアに困窮している。そして、これまでにポケットを有する褥瘡の治癒過程には、通常の表皮化とポケット特有の先行する収縮の2つに分類され、平均治癒期間は通常の表皮化では154.1日、先行する収縮では206.0日と有意に先行する収縮が遅延することを明らかにしてきた。そこで、今回私達はなぜ先行する収縮が治癒しがたいのかを科学的に評価できる分子生物学的視点からサイトカインに注目し、ポケットを有する褥瘡とない褥瘡の治癒過程における浸出液中のbFGFとVEGFの特徴とケア介入によるサイトカインの推移を調査した。そして、サイトカインによる根拠ある最適なケア基準を開発することを研究の目的とした。 通常の表皮化をたどるポケットを有する褥瘡と先行する収縮をたどるポケットを有する褥瘡の肉芽増殖期のポケット面積とbFGFとVEGFの推移の実態から、bFGFとVEGFの推移が連動している傾向があった。表皮化全症例では平均54.7%、収縮全症例では平均36.9%が連動しており、先行する収縮ではbFGFとVEGFは共に推移していないために肉芽増殖が遅延することが示唆されました。 また、ポケット面積拡大後に、bFGFとVEGFの推移が連動し縮小した時に実施していたケアは、ポケット内洗浄回数の増加と抗菌剤の使用であった。
|