2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592452
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
習田 明裕 Tokyo Metropolitan University, 人間健康科学研究科, 准教授 (60315760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志自岐 康子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60259140)
勝野 とわ子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60322351)
金 壽子 首都大学東京, 健康福祉学部, 准教授 (60279776)
石川 陽子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (40453039)
内藤 明子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (30329825)
|
Keywords | 生体部分肝移植 / ドナー / レシピエント / 意思決定プロセス / 倫理的対応モデル / ジレンマ |
Research Abstract |
本研究は生体肝移植に焦点を当て、レシピエントおよびそのドナーが抱える様々な倫理的課題として、特に意思決定プロセスに関して時間的要素を加味して分析し、最終的に分類されたパターンに対応した倫理的対応モデルを構築することが目的である。本年度はClinical Transplant Coordinator(以下CTC)がジレンマを感じたエピソード(倫理的課題)について面接調査を行い、生体肝移植における倫理的課題を明らかにすることを目的とした。対象施設は生体肝移植を行っている大学病院で、CTCを常勤かつ専従雇用している施設とし、研究の同意の得られたCTC8名に対して半構成式面接調査を実施した。調査内容にCTCが感じた倫理的課題を含む具体的なエピソムドであり、データ収集にあたって倫理的問題分析モデル(Bridget Carney,1989)を用い、登場する人物(ドナー、レシピエント及びその家族、等)の価値観の明確化を図った。対象CTCの平均年齢は40.4±6.1歳、CTC経験年数は5〜8年間で平均6.3±1.7年間で、150〜700例の生体肝移植の経験を有し、全員がドナー及びレシピエントの両者に関わっていた。ジレンマ状況のエピソードは40例ほど得られたが、それ以外の例えば医学的に予測された合併症や後遺症等のリスクが最低限に抑えられたケースにおいてさえも、その過程において何らかの倫理的な問題をCTCは感じていた。ジレンマ状況のエピソードとして最も多く聞かれたケースは「自律の原則」、特にドナーの意思決定の担保に関連するものであり、ジレンマ状況は「無言のプレッシャー」、「家族の負のダイナミクス」、「自発性のボーダーライン」、等のカテゴリーにまとめられた。左記は夫婦間や兄弟間など成人間での生体移植に多く聞かれ、家族の枠を超え親族等を含めた複数の価値観が絡む多層なジレンマ構造であった。
|