2007 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故体験看護師への当事者サポートとその効果測定尺度の開発研究
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19592463
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
横手 芳惠 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 教授 (80200905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 千加子 川崎医療技術短期大学, 講師 (50342291)
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Keywords | 医療事故 / 事故当事者 / 事故当事者サポート / サポート効果測定尺度 / 事故当事者ダメージ / リフレクション / 事故体験からの学習深化 / サポートシステム |
Research Abstract |
19年度は、事故当事者体験を持つ看護師へのサポート効果測定尺度を開発するための、項目の検討を目標とした。 検討には、2006年9月に実施したフォーカスグループ調査結果の解析と、事故当事者の面接データ(2004〜7年調査)を分析検討した。前者からは、医療組織として現状ではサポート体制が整っていないとはいえ、各管理病棟での職位に伴う役割と非公式なサポートの存在が見出きれる「現状と課題」、事故体験に伴う当事者ダメージの経時的組織的「ダメージの構造」、医療現場で組織化可能な「当事者サポートの構造化」が明らかになり、日本看護学会(看護管理)に発表した。これらを報告書にまとめ対象施設にフィードバックする予定としている。後者からはダメージ体験の深化と学習深化がトレードオフの関係構造にあるという理論仮説を生成し、医療の質・安全学会に発表した。 以上の成果を基盤にして、調査項目としては、基本属性及び当該事故に関する基礎事項に加えて、事故の動揺(ダメージ)体験8項、サポート体験9項目、体験からの学習13項目を作成した。 予備調査は本学卒業生330名を対象に実施し、現在、事故体験を持つ有効回答103件中96件を分析している。記載された事故の約40%は1年目に体験していた。障害あるいは死に至る重大事故の体験は7件であった。無記名としていることからその実態は不明であるが、本学卒業(11期)者の事故体験の実態としてこの結果は基礎教育改革に重要であり、これは他校出身者の実態と大きな違いはないと予測される。回答者のダメージ体験は9割以上にみられ、体系的なサポートを受けておらず、学習につながるポジティブな認識は低いことから卒後の支援体制に課題が提示された。 20年度はこの予備調査で明らかになった項目上の不備を解消し、さらにエキスパートの意見を取り入れた当事者サポートの効果測定にかかわる調査を予定している。
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