2009 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故体験看護師への当事者サポートとその効果測定尺度の開発研究
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19592463
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
横手 芳恵 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 教授 (80200905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 千加子 川崎医療技術短期大学, 看護学部, 講師 (50342291)
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Keywords | 医療事故 / 事故当事者 / 事故当事者サポート / サポート効果測定尺度 / PTSD / 安全学習尺度 / 事故回避分析 / サポートシステム |
Research Abstract |
当事者サボートの有効性を評価する測定尺度を開発するために平成21年度は合計23医療施設の1051票配布して得た有効回答439(41.8%)票を分析した。その結果、事故当時PTSDハイリスク状態が40.1%の回答で、現在も同状態が8.0%と、事故の経験が多くの看護職者に心理的ダメージを与え、それを抱えながら業務についていることが伺えた。この心理的ダメージは事故直後や対処中に自覚されるさまざまな「動揺体験」と強い相関があり、事故による「患者影響度」と有意差を認めたものの経験年数や年齢、事故時経験年からの影響は少なかった。「動揺体験」には、軽重の患者影響度による避けがたい「事故直面動揺」と、「事故報告時動揺」「周囲の反応動揺」があるが、後者の動揺軽減は組織的方略が可能と考えられた。また、事故後の影響を予測することで抱く動揺は、適切な情報提供など当事者に対する教育的介入によりダメージを深めない対策が可能と考察された。さらに、心理的ダメージは時間経過が軽減をもたらすとは限らず、年齢や経験年数、患者影響度など、明らかな要因とは言えないことから、個々の有効なコーピングスタイルや何らかの外的な事故後支援が影響するものと結論された。この結果は第4回医療の質・安全学会学術集会で報告してベストポスター賞を受賞した。さらに、調査により開発した安全学習尺度は、6因子22項目で構成され統計学的に信頼性妥当性を得て、現在論文投稿中である。同時に研究を重ねてきた研究協力病院看護部の事故報告書による薬物関連28例を事例分析して、「5段階事故回避分析」方法により、個人と環境システムに視点を持っことで、事故体験から学習する支援となる可能性を明らかにして、同様に第4回医療の質・安全学会学術集会で報告した。今後、上記の安全学習尺度と5段階事故回避分析方法の有効性を検証する介入研究を予定している。
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