2007 Fiscal Year Annual Research Report
重心移動測定による術後譫妄の定量評価に関する調査研究
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19592502
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
坂本 祐子 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 講師 (20333982)
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Keywords | 術後譫妄 / 高齢者 / 重心移動 / 周手術期看護 |
Research Abstract |
初年度は,(1)測定済みの重心測定値の精度・妥当性を研究者と開発企業と測定値の妥当性の検証,(2)術後譫妄による行動の重心移動の特徴抽出のための解析指針,(3)術後患者を対象とした術前を含む重心移動測定を行った。 (1)重心値の測定精度:測定機器の4つの重量センサーの荷重に著しい不均衡が認められた症例があり,その傾向は一定ではなかった。このため症例間の比較解析は限界があり,事例内の解析だけに留めるのが妥当という結論に達した。この著しい荷重の不均衡は,設置環境(床面の歪),測定機の設置方法に由来し,術直後から患者を測定する場合完全に解消することが難しいという結論を得た。しかし,荷重の校正は工学的に可能であり,手法について開発企業から教授を受けた。 (2)重心移動の特徴:術後譫妄患者は,1時間当りの重心移動量が大きいことを報告している。今回の解析では,第1段階として5秒〜30秒,1分,5分〜30分間隔で重心移動量・速度の解析を行った。設定単位時間当たりの重心移動量・速度に特徴が少なく,術後譫妄を検出する特徴は見いだせなかった。第2段階として重心移動面積の解析に着手した。解析途中であるが,「ベッドから降りようとする」等比較的重心移動が大きいと想定できる症状と重心移動面積が無相関を示し,重心移動が少なくとも繰り返し行動した場合有意な相関が認められた。次年度以降は,重心移動量と重心移動面積,重心移動面積総周径などを組み合わせた解析を行い,術後譫妄の定義をお試みる予定である。 (3)術前後の重心移動:術前後では,視覚上同一様相で臥床(睡眠)していても重心移動に差異があることが明らかになった。術後患者は無意識に体動を制御している可能性が示唆され,術前の測定値を機軸に術前後の重心移動量の差異から術後譫妄を定量化することは限界があると考える。 (2)の結果については,第28回日本看護科学学会で報告の予定である。
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