2008 Fiscal Year Annual Research Report
重心移動測定による術後譫妄の定量評価に関する調査研究
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19592502
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
坂本 祐子 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 講師 (20333982)
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Keywords | 術後譫妄 / 高齢者 / 重心移動 / 周手術期看護 |
Research Abstract |
平成20年度も前年度と同様,動画と重心データの収集と解析を引き続き行った。今年度手術患者から同意は得られず新たなデータの蓄積はできなったが,比較データとする健状人の夜間睡眠中の重心移動を6例のべ10日分のデータ収集を行った。 前年度の成果として「重心移動量」と「重心移動面積」などを組み合わせた定義づけの可能性を報告した。しかし,多角形を示す重心の移動面積を算出することに膨大な時間を要するため解析としては効率的でないと判断し,面積に相当する値として「分散」に着目した。その結果,術後講妄患者の重心移動をグラフ化した時,単位時間あたりの平均値あるいは積算値では譫妄による不穏行動の有無で違いは見られなかった。しかし,不穏行動が多い時間帯と創処置や看護処置時に突出した大きな値をとり,「起居」を伴う場合はベッド長軸の分散の増加,「体交」ではバッド横軸の分散が顕著に増加していた。譫妄非発症患者の分散は,創処置や看護処置など病棟のタイムスケジゴールに沿った分散の増加が主であったが,譫妄発症患者の分散から医療・看護処置の時間帯を判別することは不可能であった。また,健状人では,単位時間当たりの重心移動量は大きくないが,「起き上がるなど」のベッド長軸の分散が増加,「体交」では横軸の分散が増加していた。 以上の結果より,「重心移動量」の大きさと分散を用いて,術後譫妄の定義付けが可能と判断する。今後の解析を続け,定義づけを行い報告する予定である。
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