2008 Fiscal Year Annual Research Report
熟練助産師の助産ケアの判断における認知過程を明らかにするための研究
Project/Area Number |
19592506
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
安達 久美子 Tokyo Metropolitan University, 人間健康科学研究科, 准教授 (30336846)
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Keywords | 助産学 |
Research Abstract |
熟練助産師たちの助産ケアにおける思考、認知における要素(決断、判断、注意、査定、認識、解釈、優先度、予測)を、Applied Cognitive Task Analysis(認知課題分析・以下ACTA)の手法を用いて、特に妊娠期の異常の判断における認知過程を明らかすることを目的として調査を実施した。調査対象は、10年以上の助産師としての臨床経験をもち、現在自立して妊婦健診審査(以下妊婦健診)を実施しているもの14名であった。本研究では、助産師の妊婦健診における専門的知識のなかでも、特に認知領域に焦点をあてて調査を行った。 その結果、助産師の妊婦健診時のアセスメントの視点として322項目が抽出された。これら抽出された項目を、助産師教育で用いられているテキスト、参考書などの書籍と比較を行った結果、抽出された項目の2割程度に、既存の書籍などには記述されていない新たなアセスメントや解釈の視点がみられた。これら新たに見出された視点は、いわゆる医学モデルではなく、助産師としての視点であり、助産師が行なう妊婦健診の特徴を示すものであった。熟練助産師たちは、妊婦を多面的にアセスメントするために、多様な機会、状況をとおして情報を収集していることもわかった。また、一つの情報を身体、心理、社会面など様々な角度から分析し、妊婦の現状そして今後のリスクの予測などに役立てていた。本研究により熟練助産師の妊婦健診における助産診断において、これまで明らかにされてなかった重要な視点が見出されたことから、熟練者の認知過程を明らかにする手法として、ACTAのインタビュー方法が、有効であることが示唆された。
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