Research Abstract |
日本人にフィットし,入院や在宅という療養の場を問わない病気に関連する不確かさを測定する尺度を作成することを目的に,昨年度は質問項目作成のために,患者の手記やインタビューから135の質問項目を作成した。本年度は47名の患者に5件法でプレテストを実施,天井・床効果のある項目や曖昧な項目を削除し51項目に絞り,本調査を実施した.本調査では対象を病名や療養の場を問わず16歳以上の患者とした.調査内容は,患者属性,病名,基準関連妥当性検証のためにSTAI,POMS,マスタリー尺度を使用.調査方法は,2病院の患者に調査員が研究趣旨を説明,同意を得て調査票を手渡し同日回収または持ち帰って郵送してもらった.その結果,有効回答535名,外来56.8%,入院44.7%,病名は未診断9.5%,がん33.3%,自己免疫疾患12.0%など.分析は天井・床効果のあった3項目を削除し48項目で因子分析(最尤法,プロマックス回転).スクリープロットから因子数を6とし,因子負荷量0.45以下の項目を削除し,4回目を最終として26項目を選択した.6因子各々を,選択された不確かさの項目内容を解釈し,「生活予測-8項目」,「情報解釈-4項目」,「病気の意味-4項目」,「病気の性質-4項目」,「病気回復-3項目」,「闘病力-3項目」と命名した。尺度全体のα信頼係数は0.94,6因子は0.93〜0.79の範囲であった.妥当性はSTAI及びPOMSとの間に1%有意水準で相関が認められた.なお,未診断群は診断群に比べて,6因子中3因子で有意に不確かさが高かった,以上の結果から,本尺度は信頼性,妥当性とも一定の基準を満たしており,Mishelの尺度にはない「病気の意味」「闘病力」などの領域の不確かさを測定でき,かつ,療養の場を限定せず使えるため,縦断的に不確かさを測定できる.今後は,様々な患者集団に使用して,更に,妥当性,信頼性を検証すると共に,不確かさの関連要因を検討していく計画である。
|