Research Abstract |
本研究は,透析患者に対して免疫力を損なわない個々の症状に適した口渇や口腔乾燥に対するケアを開発することを目標としている. 透析患者の口渇の要因は複雑であり,それぞれの要因に適した口渇を緩和するケアの実施には,透析患者の口渇や対処方法の実態を知ることが必要と考え,2007年度に調査を行ったAクリニックにて昼間の血液透析を受け,本研究に同意の得られた患者30名の追跡調査を2010年1月に行い,夏季と冬季の比較を行った.対象者のうち1名が在宅に,転院が3名,夜間透析に変更1名,死亡4名,痴呆症状悪化のため調査不能1名がおり,比較できたのは20名であった.男性8名(平均年齢703.4±6.1歳),女性12名(平均年齢65.9±11.8歳).透析歴は,5~32年で,平均10.1±7.3年であった.質問紙は,日常生活に関すること,KDQOL^<TM>疾患特異的尺度の下位尺度(症状),口渇の部位,口渇時の対処方法などで構成した.さらに,口腔内湿潤度,唾液量,体重増加率等について調査した. 口や喉の渇きを訴えていたのは2007年度13名(65%),2010年度12名(60%)であった.口渇の程度が変化なかった者は13名であった.口渇が無くなった者は3名,口渇が出現した者は4名であった.水分や塩分の摂取に対する注意では,注意していない人が2007年度は4名(33.3%)であったが,2010年度では2名(15.4%)であった.唾液量,湿潤度では口渇有群と無群で差はみられなかった.2010年度では,喉の奥が乾くとの訴えた者が6名(46.2%)で最も多かった.乾きに対する対策では,水分による対策に変化はなったが,冬のほうが喉は乾くと訴える者が多く,汗が出ないため,多量の飲水を防ぐため熱い飲み物にしているものが7名いた.季節による対処行動の変化が示唆された.
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