2009 Fiscal Year Annual Research Report
統合保育に参加する健康障害児の社会的行動の性質と意味に関する発達的研究
Project/Area Number |
19592544
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
森田 恵子 Himeji Dokkyo University, 医療保健学部, 准教授 (40194667)
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Keywords | 統合保育 / 幼児 / 発達障害 / 社会的行動 / 縦断的観察研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、統合保育に参加する健康障害児の社会的相互作用場面で観察される社会的行動の性質と意味の発達的変化を検討することにある。平成21年度は、前年度に引き続き在園する健康障害児2名について縦断的社会的行動観察を9月まで継続することに並行して、昨年度の記述式観察記録の分析を行った。 平成20年度4月から翌年3月までの記述式観察記録は、被観察者4名とクラスメイト79名、保育士9名、および観察者との社会的相互作用場面をホワイティングらの子どもの社会的行動12カテゴリーに準じカテゴリー化し、社会的行動出現頻度の傾向と特徴を検討した。 被観察者男児4名の背景は自閉症と広汎性発達障害があり、家庭環境・保育環境は生活環境として子どもの発達にふさわしい経験と学びの機会があると評価された。発達評価では、歴年齢平均5歳2ヶ月時点で発達年齢平均2歳7ヶ月であった。4名の社会的相互作用場面は、約1年間で244保育場面(朝のお片づけや園庭や保育室での自由遊び・設定保育など)あり、社会的行動9895行為がカテゴリー化された。12カテゴリーのうち、4名で観察頻度の高い3カテゴリーは共通して社交的行為・象徴的攻撃・注意喚起であり、各個別総数の約80%を占めた。また年間月別社会的行動の観察頻度の差異を検討した結果、3名は有意差なく、場面別差異は4名共に2~4行動で、特に園庭や保育室内での『自由遊び場面』で責任ある提案や象徴的攻撃の観察頻度が有意に高かった。 統合保育に参加する発達障害児の社会的行動は、環境に対して友好的・親和的で、遊びへ積極的・挑戦的に参加する健康的な生活行動であった。また子どもの社会的行動は、設定保育場面以上に『自由遊び場面』で引き出され、遊具や玩具を介して興味関心を育み、選択した遊具・玩具の特徴や遊戯性に導かれ活かした技能を高めることが、対人的相互作用に連動すると考えられた。
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