2007 Fiscal Year Annual Research Report
母乳哺育児の生活リズムの基礎研究とそのリズム改善のケア
Project/Area Number |
19592548
|
Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
永田 華千代 Kumamoto Health Science University, 保健科学部, 助教 (80369123)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 紀生 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (30040182)
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 教授 (80188284)
竹生 政資 佐賀大学, 医学部, 教授 (30207005)
中野 正博 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (70141744)
隈元 貞広 熊本大学, 文学部, 教授 (40161707)
|
Keywords | 新生児 / 生活リズム / 母乳哺乳 / 体温 / 睡眠覚醒周期 |
Research Abstract |
本研究の目的は,新生児生活リズムである体温および睡眠覚醒周期と哺乳・体温との関連について定量的に解明し,変調した母乳哺育児の生活リズムを改善し生活リズムの調和を図り,統合された新生児のケアとして確立することである. 今回作成した哺乳力の総合的な指標である「哺乳力スコア」を用いて,新生児の哺育間隔,哺乳力と睡眠覚醒リズム,胸部深部体温および足底皮下温リズムなどを調べ,これらの因子が新生児の母乳哺育にどのような影響を与えるかを調べた.まず,新生児の円滑な自律哺乳に関わる因子を明らかにするため,新生児の体温および睡眠覚醒リズムと哺乳間隔,哺乳力との関係を検討した.意識水準の判定にはPrechtlの方法を用い,哺乳力は吸啜頻度,哺乳状態,哺乳速度を組み合わせた指標(哺乳力スコア)を用いた.研究の対象は,新生児治療室に入院,治療が終了した在胎36週以降の9名の新生児を対象に測定回数(n)は37回実施した.なお,研究の主旨を両親に説明して,体重および体温測定の承諾を得た.その結果以下の内容が明らかになった. 新生児の覚醒周期は約40分で,state 1ノンレム睡眠の周期は約70分であった.胸部深部体温は睡眠中も覚醒中も37℃前後でほぼ一定であった.一方,足底皮下温は,睡眠から覚醒して四肢が動くと低下し,哺乳時に最低温度となり,哺乳後入眠してstate 1ノンレム睡眠時に最高温度となった.すなわち,足底皮下温は約2時間20分の周期をもつウルトラディアンリズムを示した.哺乳間隔も同様の周期を有したことから,哺乳が足底皮下温周期を形成する体内時計の同調因子であることが示唆された.哺乳前足底皮下温最高値と哺乳力スコアの間には有意な相関が認められ,最高足底皮下温が35℃以下を示した新生児は哺乳力が弱く,35.5〜37℃を示した新生児は哺乳力が良好であった.また,35.5〜37℃のときには深い睡眠(ノンレム睡眠)が見られ,35℃以下では浅い睡眠(レム睡眠)あるいは覚醒状態にあった.以上の結果,足底が暖かい新生児ほど哺乳力も睡眠も良好であることがわかった.
|