2009 Fiscal Year Annual Research Report
多職種が使用可能な高齢者虐待・ネグレクトの判断基準の作成に関する研究
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19592559
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
表 志津子 Kanazawa University, 保健学系, 准教授 (10320904)
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Keywords | 高齢者虐待 / 判断基準 / ネグレクト |
Research Abstract |
概要:高齢者へのネグレクトは、生命の危機に及ぶことがあり、早期の発見・対応が必要である。在宅での虐待予防・対応に関わる専門職は、医療職、福祉職など多職種にわたる。本研究では、多職種が使用可能なネグレクトの判断基準の作成を目指した。平成21年度は、ネグレクトの判断項目と下位の観察項目、観察理由をまとめ、判断基準の試案を作成した。 方法:(1)平成20年度に実施した項目抽出調査において、虐待の判断経験があると回答した人から抽出したネグレクト判断項目29項目のうち、項目内容の重複を整理し数を絞って18項目とした。 (2)調査協力に同意を得た、虐待対応経験のある保健医療福祉専門職69名に試作中の基準案を送付し、同意の有無と、観察項目と観察理由について記述回答を得、内容別に分析を行った。 結果:45名から回答を得、回収率は65.2%であった。勤務先は居宅介護支援事業所60.0%、地域包括支援センター17.8%等であった。項目の同意率が80%を超える項目を採用し、項目数は17に修正した。ネグレクトの判断項目の一例として栄養失調の状態にあるについては、食事の時期、食べ方、疾患・治療の有無、体重減少、皮膚の状態などを観察する。理由は本人自身の問題か家族の問題かを把握する、介護力で対処可能か判断する、栄養失調の根拠を得る、緊急性の判断をするなどであった。その他の項目においても同様の分析を進め、ネグレクトを判断する際の指標を作成した。 判断項目作成過程の一部は、連携研究者石原とともに8月オーストラリア(アデレード)で開催された第4回国際地域看護学会で発表し、海外の研究者との意見交換を行った。現地の高齢者施設、訪問看護施設を見学し、日本以外でも早期発見や対応が課題であった。本研究は、他国においても轄用可能な意義のある研究となった。
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