2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の尊厳ある看取りを支援する在宅ケアマネジメントの実証的研究
Project/Area Number |
19592569
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中谷 久恵 Shimane University, 医学部, 教授 (90280130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 恵子 島根大学, 医学部, 助教 (50448205)
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Keywords | 看護学 / 在宅終末期ケア / がん患者 / 訪問看護 / ケアマネジメント |
Research Abstract |
終末期を在宅で看取ったがん患者の情況とそのケアマネジャーや訪問看護師による援助の実態を把握し、尊厳ある在宅死の実現要因を明らかにする目的で、過去2年以内に在宅で死亡したがん患者の遺族と、それらの事例を含めた終末期のケアマネジメントや訪問看護を体験したことがあるケアマネジャーおよび訪問看護師を対象にフォーカス・グループインタビュー(以下FGI)を行った。家族4人のFGIからは、告知を受けた患者の遺族では最期のお別れや感謝の言葉を本人と交わせた思いが語られたが、非告知事例からは本人が高齢であってもまだ頑張りたいという生への執着があり、励ますことしかできなかったという後悔の残る現実が語られた。ケアマネジャー5人へのインタビューでは、非告知事例への関わり方で安静や訪問看護の利用を進める家族と自立したい本人との思いの対立やズレが、サービス利用の意思に影響したことがわかった。訪問看護師8人へのインタビューでは社会資源の利用で介護保険の認定が遅く、利用できるサービスがすぐに使えないこと、病状変化に対応した要介護度が追いつかず、医療保険で利用している訪問看護師が入浴サービスなどの生活介護を担っている現実が語られた。すなわち、本来の医療的ケアや看護的ケア以外にも介護保険との狭間を埋める役割を担っており、訪問時間や頻度にも影響している実態が明らかとなった。 以上より、本人が限りある人生を全うし、それを家族が側で支えていく尊厳ある看取りには、本人の受け入れ情況に応じた告知のあり方と介護保険制度のような生活を支える福祉的サービス、病状の変化を的確にアセスメントできる医療と看護が主要な柱となっていることが示唆された。
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