2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592570
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
國方 弘子 Kagawa Prefectural College of Health Sciences, 保健医療学部・看護学科, 教授 (60336906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 久美 岡山大学, 医学部・保健学科, 助教 (60284121)
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Keywords | 精神障害者 / 自己概念 / 自尊感情 / 看護支援 / 質的研究 / CBPR |
Research Abstract |
日本の精神保健施策は、脱施設化を目指しており社会的入院患者に対する退院支援策を実行している。精神障害者の在宅生活が維持・促進できるためには、彼らの自尊感情が回復することの重要性が明らかにされている。そこで、本研究では、精神障害者の自尊感情回復モテルを構築し、自尊感情の回復をめざした臨床プログラムを開発することを目的とする。今年度は、精神障害者の自尊感情の構成要素を明確にした。 研究方法は、修正版Grounded theory approachを用いた質的帰納であり、研究者とコミュニティメンバーの協働的なアプセーチを基盤とするCommunity-Based Papticipatory Researchである。コミュニティメンバーは、精神障害者当事者グループの会である「スピーカーズ・ビューロー岡山」に所属する有志22名であった。 質的テータを分析した結果、22個の概念が生成できた。22個の概念は、3個のカテゴリー『階層からなる欲求をもつ自分』、《獲得したものをもつ自分》、《環境の影響を非常に大きく受ける自分》に集約できた。精神の病を体験しながら、精神保健について正しい認識を広める活動をしているメンバーの自己概念は、欲求を通して意された自己であり、《獲得したものをもつ自分》と《環境の影響を非常に大きく受ける自分》は、『階層からなる欲求をもつ自分』と立体的に構造化されていた。結果より、『階層からなる欲求をもつ自分』と《環境の影響を非常に大きく受ける自分》の自己は、欲求の剥奪された自己慨念であり、剥奪されたことによる苦しい叫びと解釈されることから、ケア提供者は、メンバーを歴史・時代から大きな影響を受ける社会的存在として捉え、彼らの苦しい叫びをそのまま受け止める、体験の中に意味を紡ぎ出すプロセスを支援する、地域社会とメンバーの橋渡しの役割を強化する、無条件に受け入れる対人関係を構築する、活動の場作りの支援を行うことの必要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)