2008 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における地域高齢者の伝統的地域支援ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
19592573
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
與古田 孝夫 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (80220557)
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Keywords | 地域高齢者 / 地域支援 / 伝統的地域特性 / メンタルヘルス / 沖縄 / QOL(quality of life) |
Research Abstract |
西原町25地区から無作為抽出した6地区、65歳以上の共生事業参加者のうち、調査協力の得られた73名(男21名、女54名)を分析対象に、唾液中free-MHPG及びs-IgAのストレス関連指標とQOLスケール(芳賀ら)、自立性尺度(鈴木ら)とあわせて沖縄の伝統的祭事・行事への参加状況との関連から検討した。分析は唾液中free-MHPG、唾液中s-IgAともに中央値で2分割し、上位群を高群、下位群を低群とし比較検討した。その結果、QOL総得点(p<.001)、下位領域の健康満足感(p<.001)、精神的活力(p<.05)のいずれにおいてもMHPG低群がMHPG高群に比べ有意に高かった。なかでも、下位領域の健康満足感では、健康良好感(p<.05)、気分良好感(p<.05)、体調良好感(p<.05)の3項目いずれもMHPG低群がMHPG高群に比べ高値を示した。IgA2群とQOLとの比較では、下位領域の「精神的活力」で有意差を認め(p<0.01)、IgA低群で高値を示した。高齢者の自立性に関する意識では、「人生の目的意識」でIgA低群が高い傾向を示した(p<0.1)。沖縄の伝統的側面では、日課に仏壇を拝む者(p<0.05)、伝統行事への参加する者(p<0.1)、いずれにおいてもIgA低群で高い割合を示した。本結果から精神的活力や人生の目的意識が高齢者のQOLに影響することが示唆され、また沖縄の伝統的精神風土が高齢者の生きがい感に寄与していることが推察された。得られた知見は,学会誌に投稿すべく準備中である。
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