2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合型アクションリサーチによる中小企業へのメンタルヘルスサービス提供方法の開発
Project/Area Number |
19592576
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
池田 智子 Ibaraki Prefectural University of Health Science, 保健医療学部, 准教授 (50341938)
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Keywords | アクション・リサーチ / 中小企業 / メンタルヘルス / 主体的活動 / 地域産業保健センター / 協働 / 保健師 / コーディネーター |
Research Abstract |
これまで、中小企業に対するメンタルヘルスサービスの有効な提供方法は十分に検討されてこなかった。しかし、中小企業においては、当事者の主体性を支援する産業保健活動の有効性が提唱され、使いやすいツールの開発がされてきた。 本研究では、保健師と地域産業保健センターのコーディネーターが協働して、ツールを用いながら、事業場の主体的なメンタルヘルス活動を支援する方法を構築するために、介入研究を通して、支援過程を詳細に分析した。研究者(支援者)の介入に対する事業場の反応を分析することに加えて、研究者(支援者)自身の変化も考慮し、双方のやり取りの変化過程を分析対象とするアクション・リサーチの手法を用いた結果、貴重な知見が得られた。 保健師およびコーディネーターのそれぞれの働きかけにより、中小企業は「保健活動の受け入れ→理解の相互確認→意見の表出→アセスメント→テーマの決定→目標決定→実施→評価と新たな課題の確認→今後の活動内容検討」の各段階を経て変化して行った。また保健師やコーディネーターは「話し合いの過程で従業員が前向きになっていくのを感じた。」「職場で1つのことについて議論して従業員が皆で決めていくことの大事さを再認識した。」等の気づきがあり、この気づきを言語化することにより、中小企業の集団凝集性を促進し、従業員の士気の高まりにつながっていた。 支援前後の中小企業へのアンケート調査では、支援後「上司・同僚のサポート」の向上が認められた。またインタビュー結果では、活動の達成感と共に、職場の人間関係の改善や健康的職場風土の構築というような効果ももたらしていた。さらに今後もこの保健活動を継続的に行っていく意欲や、地域産業保健センターへの継続支援の要望もあがるようになった。
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